知人に送金「業務報酬」 ゴーン元会長、公判前整理
無罪を主張、検察側との対立鮮明

2019/10/24 13:06
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カルロス・ゴーン元日産会長(6月、東京地裁)

カルロス・ゴーン元日産会長(6月、東京地裁)

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)の弁護団は24日、公判で主張する具体的な内容を明らかにした。日産子会社の資金を中東の知人へ不正送金したとされる会社法違反(特別背任)事件について「(送金は)業務の報酬」などと反論し、全ての起訴内容について無罪を主張。日産の「私物化」を強調する検察側との対決構図が明確になった。公判は来春にも始まる。

24日は東京地裁でゴーン元会長らの公判前整理手続きがあり、裁判所、検察側、弁護側の3者で元会長側の主張内容を確認したとみられる。今後は意見を出し合いながら公判で取り上げる争点や証拠を絞り込み、審理計画を固める。

ゴーン元会長は役員報酬の「未払い分」約91億円を有価証券報告書に記載しなかったとする金融商品取引法違反罪と、サウジアラビアとオマーンの知人へ日産子会社の資金を送金するなどして日産に損害を与えたとする2件の会社法違反(特別背任)罪で起訴された。

弁護側は金商法違反事件について「(日産社内で)未払い報酬があると認識していた人はいなかった」と指摘。社内の帳簿や契約書にも記録がないことから「未払い報酬は存在しない」と反論した。検察側は未払い報酬が記録された文書があると主張しているが、弁護側は文書はゴーン元会長が日産を退任後に再び契約を結ぶ際の「参考資料」だったとした。

特別背任事件を巡っては、日産子会社から中東の知人へ送金された資金の趣旨が焦点の一つとなっている。検察側はサウジアラビアの実業家への送金(サウジルート)は私的な協力に対する元会長からの謝礼、オマーンの販売代理店に支出した資金(オマーンルート)は一部を元会長側に還流させたとしている。

これに対して弁護側はサウジルートについて、実業家が日産と現地の販売代理店との関係改善などに貢献した「業務の報酬」と主張。オマーンルートの支出は「適切な販売奨励金だった」と正当性を強調し「代理店からゴーン氏や家族に直接的にも間接的にも金銭が移転した事実はない」と還流も否定した。

このほか、一連の捜査は日産の日本人役員がルノーとの統合を阻止するため、ゴーン元会長の追放を画策したものだったとし、特捜部が日産幹部ら2人と交わした日本版「司法取引」については「2人は日産に説得されて司法取引したにすぎず、法の趣旨に反する違法なもの」と訴えた。

■ケリー元役員も無罪主張 日産側は起訴内容争わず
 ゴーン元会長と共謀したとして金融商品取引法違反罪で起訴された日産自動車元代表取締役グレッグ・ケリー被告(63)の弁護団も24日、公判で主張する内容を明らかにした。「(報酬は)ゴーン氏が退職後に日産に提供する業務への対価として予定され、役員報酬ではない」などと無罪を主張した。
 検察側は公判で、ケリー元役員がゴーン元会長と共謀し、報酬の「未払い分」の支払い方法を検討したと主張するとみられる。弁護側はこれに対し、ケリー元役員が「(元会長と)共謀した事実もない」と訴えた。
 一方、ゴーン元会長、ケリー元役員とともに法人として金商法違反罪で起訴された日産の弁護団は、検察側の起訴内容について認めるとみられる。関係者によると、報酬の未記載について「ゴーン元会長らが正確な報酬額の開示を免れるために行った犯行で、日産には動機がない」などと主張する見通しだ。
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