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チリの反政府デモ収束せず 銅生産に影響も

【ネウケン(アルゼンチン中部)=外山尚之】南米チリで学生の抗議活動に端を発した反政府デモが全国に拡大し、混乱が深まっている。事態を鎮めようと政府は最低賃金の引き上げなどの政策を発表したが、抗議活動は収まらず、最大の輸出品目である銅の生産にも影響が出ている。11月にチリで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への影響を懸念する声も出ている。

抗議活動は18日に始まった。もともとは学生が地下鉄の運賃引き上げに対抗するために始めた活動だが、一部が過激化し、駅や電力会社の施設などを焼き打ちした。

政府は非常事態宣言を発令し鎮圧に当たったが、これが逆に反感を買い、格差や政府の経済政策に不満を持つ市民による反政府デモの色彩が強くなっている。23日の時点で、少なくとも18人の死者が発生し、2100人以上の市民が身柄を拘束されているという。

ピニェラ大統領は22日、「私の見通しの欠如を認識し、同胞に謝罪する」と発言した。最低賃金や年金支給額の引き上げや電気料金の引き下げなどを含む社会保障改革案を提案し、事態の沈静化を求めた。

しかし、23日に入っても抗議活動は続いており、経済への影響も拡大している。銅の世界生産の約1割を占めるチリ公社コデルコの労働組合は23日、複数の施設が部分的にしか稼働していないと発表した。同社の労働組合は抗議活動に連帯し、ストライキに参加すると表明していた。

地元メディアによると、公共交通機関網がまひしているほか、学校が休校となり、各地で略奪を伴う暴動も起きているという。

チリは近年、中道左派と中道右派政権が互いに政権を担ってきた。経済政策では両陣営とも市場経済を重視する点で一致しており、格差の固定が社会問題となっていた。元起業家で同国有数の富豪であるピニェラ氏への感情的な反発もあり、落としどころは見えていない。

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