報復や個人的恨みで襲撃指示、検察指摘 工藤会初公判

2019/10/23 20:00
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暴力団工藤会が関与したとされる市民襲撃4事件で、組織犯罪処罰法違反などの罪に問われた同会トップで総裁の野村悟被告(72)とナンバー2の会長、田上不美夫被告(63)の初公判が23日、福岡地裁(足立勉裁判長)であった。検察側は野村被告らが報復目的や被害者への個人的な恨みから、配下の組員に襲撃を指示したと主張した。

一方、両被告は起訴内容を否認し、無罪を主張した。

検察側は冒頭陳述で、1998年の元漁協組合長射殺事件について「漁協から上納金などの利益を得る目的で交際を図ろうとして拒絶され、野村被告が組員に殺害を指示した」と指摘。実行役が「オヤジの用事を済ましてくる」と周囲に語った様子も明らかにした。

2014年に襲撃された歯科医の男性は元組合長の孫で、検察側は工藤会が漁協の利権を手に入れるには漁協関係者を屈服させるしかないと考え、歯科医の襲撃を指示したと主張した。

12年に銃撃された元福岡県警警部は工藤会関連の事件捜査を担当し、両被告とも面識があった。田上被告は元警部の知人への恐喝事件で実刑判決を受けたことで「許さん」「間に4~5人入れて、絶対分からんようにする」などと報復する意図を周囲に話したという。

県警は11年3月、元警部に危険が及ぶ恐れがあるとして保護対象者に指定。検察側によると、野村被告は元警部に対し「(同被告出身母体の)田中組を挙げろと言ってたらしいな」「信用しとったのにつまらんばい」と怒りをあらわにしていた。

検察側によると、13年に刃物で切りつけられた女性看護師は、野村被告が下腹部の手術を受けた病院の担当者で、術後の状態や看護師の態度に怒りを募らせていたと説明した。

4事件では、実行役やその家族に工藤会から報酬などが支払われていたことも明らかにした。

一方で、弁護側は4事件について「組織により襲撃を企てたことは一切ないし、共謀したことはない。関与していない」と反論。野村被告は「4つの事件全てについて無罪です」と述べ、田上被告も「身に覚えがない」と無罪を主張した。

4事件ではいずれも実行犯らの実刑が確定。元福岡県警警部銃撃、看護師襲撃、歯科医襲撃の3事件では、実行犯らの判決で野村被告の指揮命令に基づく組織的犯行と認定された。元漁協組合長射殺事件も組織的関与は認められたが、田上被告は02年に殺人容疑で逮捕された後、不起訴になった。

公判は裁判員に危害が加えられる恐れがあるとして、裁判員裁判から除外された。

地裁は厳戒態勢 野村被告は裁判官見据え「無罪です」
 暴力団工藤会トップの野村悟被告(72)らの初公判があった23日、福岡地裁は厳戒態勢が敷かれ、物々しい雰囲気に包まれた。庁舎周辺では多くの警察官が警戒にあたり、裁判の傍聴者には庁舎入り口での手荷物検査や身体検査に加え、法廷前で金属探知機による検査が行われた。18枚の傍聴券を求めて273人が並んだ。
904号法廷には野村被告、ナンバー2の田上不美夫被告(63)の順で入廷。野村被告は黒っぽい眼鏡に黒いスーツ、白いワイシャツ姿。白髪交じりで入廷後に補聴器のような機械を左耳に取り付けた。罪状認否では証言台から裁判官を見据え、「私は無罪です」とはっきりとした口調で主張した。

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