インドネシア、教育相にゴジェック創業者
競争力強化へ人材育成急ぐ

アジアBiz
2019/10/23 18:00
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23日、教育・文化相に就任したゴジェック創業者のナディム・マカリム氏=ロイター

23日、教育・文化相に就任したゴジェック創業者のナディム・マカリム氏=ロイター

【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアで23日、配車サービス大手、ゴジェック創業者のナディム・マカリム氏(35)が教育・文化相に就任した。2045年の先進国入りを目指すジョコ大統領は高度な産業を誘致するために人材育成を2期目の最重要課題のひとつに掲げている。ゴジェックで200万人の運転手を教育して職を生み出したナディム氏の経験を生かし、産業界に必要な人材育成を急ぐ。

ジョコ大統領が23日発表した新内閣の目玉はナディム氏の教育・文化相就任だった。ナディム氏は早速、5千万人の児童・生徒を対象に、IT(情報技術)教育などを充実させる考えを示した。ジョコ氏は「産業界で役立つ人材育成の突破口を作ってほしい」として、教育機関と産業界の懸け橋としての役割も期待するとした。

ナディム氏は1984年生まれで、米ハーバード大経営大学院を修了した。ゴジェックを起業し、15年にスマホを使った配車や宅配、金融などのサービスを本格的に始め、わずか3~4年でインドネシア人の生活に不可欠なサービスに育てた。

ゴジェックは世界に20社ほどしかない巨大未上場企業「デカコーン」(企業評価額100億ドル=1.1兆円=以上の未上場企業)となった。ナディム氏は21日、入閣要請を受諾し、ゴジェックの最高経営責任者(CEO)を退任した。

ナディム氏は23日、従業員に宛てた電子メールで、ゴジェックが配車などで人々の生活を改善してきたことに触れ、「インドネシアが(ゴジェックにいるような)高度な人材をもっと生み出すためには教育システムを変える必要がある」と入閣の理由を述べた。

もともとは得意分野のデジタル担当相やイノベーション担当相などとして登用する案も出ていたが、最終的に教育・文化相という重要閣僚で起用することが決まったのは、ナディム氏がゴジェックで運転手を教育して職を与えたことを高く評価したためだ。就職につながる国の教育システム作りを託した。

ジョコ氏は早い段階からナディム氏の事業に注目して支援してきた。15年12月に配車サービスを禁止する通達が出た際には「誰のための規制だ」と運輸相を叱責し、事実上撤回させた。19年4月にはゴジェックの運転手向けのイベントにジョコ氏が参加するなど、ジョコ政権とナディム氏の関係は深かった。

ジョコ氏は組閣にあたって、ミレニアル世代(1980年から2000年ごろ生まれの若者)の代表として、有力スタートアップ経営者や大手財閥の若手経営者らの入閣を検討していた。なかでもナディム氏には4月の大統領選で再選を決めた直後から接触しており、意中の人物として早くから決めていたようだ。

ただ、ナディム氏の前には大きな壁が立ちはだかる。インドネシアの労働人口のうち、最終学歴が小学校卒以下の人が約4割で、中学校卒以下も合わせれば約6割に達する。産業界からは「即戦力として使える人材が少ない」(日系企業)といった不満が出ていて、海外からの投資が周辺国に流れる一因となっている。

ジョコ氏は23日、閣僚に対して「具体的な成果を意識して仕事をするように」と訓示し、早期に結果を出すことを求めた。教育は一朝一夕で改善するものではないが、ナディム氏は短期間で教育の抜本的な改善と、産業界への人材の送り出しという困難な課題に答えを出さなくてはならない。

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