金融「顧客本位」道半ば 金融庁、規制見直しなど検討

金融最前線
2019/10/23 20:00
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金融庁の金融審議会は23日、個人の資産形成を促す政策の検討を再開した。「老後に2千万円が必要」とした報告書が事実上の撤回を迫られたのを受け、議論を仕切り直す。金融庁は自社の利益を優先する金融機関の営業姿勢が、個人の資産形成が進まない一因とみる。指針の見直しや法整備で顧客重視の営業を徹底させたい考えだが、効果は不透明との指摘もある。

株式や債券、投資信託などの金融商品は個人の資産形成に欠かせない。預金金利はほぼゼロで、資産を長期で育てるには一定の投資が必要だ。

だが資産を長期で育てたい個人と、営業で収益を得る金融機関の利害は対立しやすい。例えば投信は解約と購入を繰り返せば、金融機関はそのたびに手数料が入る。その間、個人の資産が増えたかどうかは別問題だ。

23日の会合は、新たな議題として金融機関が顧客の立場で商品販売や助言をする「顧客本位の業務運営」を実践できているかを取り上げることとした。投資信託など商品の説明が適切かどうかや販売手数料の透明性などについて点検し直す。

顧客本位の運営については金融庁が17年に手数料の明確化など7項目の原則を示し、銀行や証券会社など1679社が採択した。だが金融庁の調査ではこの取り組みを顧客は3割しか知らず、商品購入の参考にしたのはこのうち2割だった。

生命保険協会によると、18年度は外貨建て保険・年金への苦情が6年前の4倍超に増えた。円高になったときの受け取りが減るといったリスクの説明が不足しているとされる。低金利で円建ての保険が売れず、金融機関が目先の収益を重視して営業に走った結果との見方は多い。かんぽ生命保険でも不適切な保険販売が多数見つかっている。

金融審では顧客本位を徹底させるための規制や監督の見直しを検討する。指針改正や関係法令の整備などが想定される。金融機関が顧客に応じた商品提案や助言をするよう監視を強める。

ただ、顧客本位のサービスが資産形成につながるとは言い切れない。立正大の池尾和人教授は「定量的なメリットをはっきりさせるべきではないか」と指摘した。良質な商品・サービスを提供する金融機関が顧客に選ばれる好循環をどう実現するかが課題となる。

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