カナダ総選挙、与党過半数届かず 首相続投も運営に課題

2019/10/22 19:00 (2019/10/22 19:53更新)
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【オタワ=高橋そら】21日投開票のカナダ議会下院総選挙(定数338)で、中道左派の与党・自由党が中道右派の最大野党・保守党を下し、第1党となった。自由党を率いるジャスティン・トルドー首相(47)の2期目が確実となった。経済成長の鈍化や首相個人の醜聞で単独過半数には届かず、政権運営は難しくなる公算が大きい。隣国のトランプ米政権や中国との関係改善など課題は山積みだ。

22日、選挙で勝利し支持者に応えるトルドー首相=ロイター

「カナダ人は分断を拒否した」。トルドー氏は22日未明(日本時間22日午後)、モントリオールで支持者を前に勝利宣言した。

連邦選挙管理局によると、現地時間22日午前6時時点で開票率は99.67%。主要政党の獲得議席は自由党157(解散前177)、保守党121(同95)、地域政党のケベック連合32(同10)、左派の新民主党24(同39)、緑の党3(同2)、無所属1(同8)。

自由党の支持率は、経済の鈍化や首相個人の醜聞が響いて一時保守党に逆転を許したものの、国民の関心の高い気候変動問題などで先進的な政策を打ち出して選挙戦後半に回復した。大票田の東部オンタリオ州とケベック州で多くの票を獲得した。オンタリオ州在住の42歳女性は「移民の受け入れに積極的な自由党に投票した」と話した。アンドリュー・シーア党首(40)の保守党は4年ぶりの政権奪還を狙ったが、及ばなかった。

自由党は2015年の前回総選挙から議席を減らし、下院定数338の過半数に届かなかった。この場合、第1党の自由党による「少数与党」(トロント大のネルソン・ワイズマン教授)になるとの見方が濃厚だ。

少数与党の政権となれば、法案の成立過程で他党の協力が不可欠となり、新民主党など少数政党の影響力が強まる可能性が高い。新民主党は富裕税の創設や石油パイプラインの拡大反対を主張する。新民主党のシン党首は新政権に対し「建設的で前向きな役割を果たす」と述べた。

トルドー氏は2期目を確実にしたが、目先の課題は多い。国際通貨基金(IMF)によるとカナダの実質成長率は17年の3%から19年には1.5%に半減する見通し。トルドー氏は財政支出の拡大による景気刺激策を打ち出す。為替は与党勝利が確実となった22日時点で、1米ドル=1.31カナダドルと3カ月ぶりの高値水準で推移している。

国際社会が注目するのは中国との関係だ。カナダ当局が米国の要請で18年12月に中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を拘束した直後、中国当局は国家安全を害した罪で2人のカナダ人男性を拘束した。その後も中国はカナダ産のキャノーラ(菜種)や食肉の輸入を一時停止するなど、関係改善の兆しは見えない。

トルドー政権が今後、ファーウェイの次世代通信「5G」参入を認めるかどうかも焦点だ。米政権は同盟国に対し、安全上の懸念を理由に、ファーウェイを5Gの通信網から排除するよう要請している。

カナダは米と安全保障上の機密情報を共有する5カ国「ファイブアイズ」のメンバー国であり「米の要求をカナダが拒否することは困難だ」(カナダ政治に詳しいマクドナルド・ローリエ研究所のブライアン・リー・クロウリー氏)。一方、カナダの通信会社大手は既にファーウェイと提携して高速通信網の共同研究を開始しており、中止となれば反発は必至だ。

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