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ロシア、シリア停戦で主導権 トルコと首脳会談

(更新)

【ソチ=小川知世、イスタンブール=木寺もも子】トルコが軍事作戦を始めたシリア北部情勢を巡り、ロシアが停戦を主導する姿勢を打ち出している。プーチン大統領は22日、南部ソチでトルコのエルドアン大統領と会談し、シリアの停戦継続を協議した。ロシアは軍撤退を決めた米国の「不在」に乗じ、中東での影響力を固める構えだが、長期的な情勢安定につながるかはなお不透明だ。

ロシアのプーチン大統領(左)とトルコのエルドアン大統領はシリア情勢の安定に向けて連携してきた(9月、アンカラ)=ロイター

会談ではトルコが米国と合意し、22日夜に期限を迎えるシリア北部での停戦を協議したもようだ。プーチン氏は会談の冒頭で「近年の(良好な)両国関係が地域の諸問題の正常化に役立つと期待する」と述べた。エルドアン氏は「緊迫が続く地域(の安定)に貢献する会談になると信じている」と応じた。

トルコが支援するシリア反体制派の戦闘員が国境地帯をパトロールした(21日、シリア北部テルアビヤド)=ロイター

焦点はトルコと国境を接するシリア北部からのクルド人武装勢力の撤退だ。トルコは敵対するクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」の撤退後に「安全地帯」を設けることで、米国と停戦合意した。だが、安全地帯の範囲で解釈が食い違い、トルコは作戦の再開を警告。SDFが協力を求めたアサド政権軍は北部に展開を進め、緊張が高まっている。

22日、ロシア南部ソチで会談するプーチン大統領(右)とトルコのエルドアン大統領=ロイター

ロシアはトルコとアサド政権、SDFの仲介役として、妥協点を探る構えだ。ロシアはトルコと武器輸出などで関係を深めており、トルコ軍とアサド政権軍の本格的な衝突は避けるとの見方が強い。同政権による国境地帯の管理やトルコとの対話などを提案し、停戦継続を目指すとみられる。トルコもアサド政権による国境地帯の掌握は認める考えを示唆した。

ロシアはシリア駐留米軍の撤退に伴う混乱を好機と捉えているフシもある。プーチン政権はトルコによる一定の軍事作戦を事実上容認してきた。ロシアが停戦を主導する構図を決定づければ、米外交の迷走に動揺する中東での影響力を一段と強め、対欧米の交渉材料にもなり得る。22日の会談を前に、フランス、ドイツ首脳はプーチン氏に電話協議を呼びかけ、シリア情勢を擦り合わせた。

米軍の撤退でSDFがアサド政権と手を組み、同政権がシリア国内の支配をさらに回復したことで、ロシアがイラン、トルコと主導するシリアの和平プロセスを後押しする利点もある。トルコによる軍事作戦はロシアと水面下で事前に調整済みだったとの指摘もある。

ロシア主導で停戦の継続にこぎ着けても、混乱が収まるかは見通せない。将来的にアサド政権がクルド人の弾圧に動く懸念がある。国内には過激派組織「イスラム国」(IS)の残党が潜伏し、支持者が再集結する恐れもある。ロシアが異なる勢力をまとめて、長期的な和平を実現できるかを疑問視する声も根強い。

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