4年で1兆円を重点投資、札幌市が中期計画発表

2019/10/21 16:30
保存
共有
印刷
その他

札幌市は21日、2022年度までの中期計画「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」の素案を発表した。重点事業の総事業費は1兆254億円と、市の年間予算規模(一般会計ベース)に匹敵する。30年度を予定する北海道新幹線の札幌延伸を見据え、都心再開発や観光振興の受け皿となるインフラの整備に予算を重点配分する。

JR札幌駅前でも再開発案件は目白押しだ(写真は北5西1・西2地区)

JR札幌駅前でも再開発案件は目白押しだ(写真は北5西1・西2地区)

秋元克広市長は同日、市役所での記者会見で「札幌は2022年に市制施行100周年を迎える一方、人口減が控える。持続可能で、にぎわいをもたらすまちづくりを形にした」と述べた。20年の東京五輪のマラソン・競歩が札幌開催の方向で進んでおり、市中心部の再開発にも追い風となりそうだ。

再開発では札幌駅前の「北5西1・西2」地区を核とする駅前開発の支援に125億円を投じる。国際会議や展示会など「MICE」と呼ばれるイベントの誘致をめぐっては札幌パークホテルの敷地に大型ホールや展示場を備えた施設を整備するため、84億円を充てて22年度までに着工する。

観光では22年度に、北海道外からの年間観光客を626万人(18年度)から800万人、訪日外国人客を272万人(同)から350万人に増やす目標を掲げた。欠かせないのが都市インフラの充実と高度化だ。

22年度から始まる地下鉄南北線さっぽろ駅の改良工事にはまず13億円を充てる。真駒内行き専用のホームを新設し、ホームの混雑を緩和する。外国人客の増加に対応できるよう、標識の多言語化や無料Wi-Fiの整備に50億円を投じる。国内外での観光プロモーションには5億円かける。

市は30年開催の冬季五輪・パラリンピックの招致を目指す方針で、まずは多額のコストもかかる五輪招致に市民からの後押しを得たいところ。札幌駅近くの赤れんが広場には9千万円かけてスケートリンクを設け、シーズンごとに2万5千人の利用を見込む。

駅前駐輪場の増設や放置自転車の撤去には50億円かけ、6249台(18年度)あった放置自転車を22年度に2500台まで減らす。雇用を生み出す企業誘致には42億円をかける。都心部で顕在化するオフィス不足を解消するため、新しくオフィスビル建設の補助制度を設ける。

一方、人口減を食い止める効果もある子育て支援では、子ども医療費の助成拡充に175億円を充てる。現在は小学2年生まで初診時の一部負担金を除いて無料としているが、21年度には対象を小学6年生まで広げる。

子どもを産んだ女性が働きやすいよう、認可保育施設の定員は22年度に18年度比2割増やす。175億円を投じて私立保育所や認定こども園の整備を補助。保育士確保には17億円かける。有資格者の復職を促したり、保育士が3年、6年、9年勤続するごとに10万円の給付金を渡したりする。

札幌ドームは維持メンテナンスに33億円をかけながら、さらに15億円を投じて活用を探る。具体的には仮設の仕切り壁でドーム内を区切り、真駒内セキスイハイムスタジアムや北海きたえーるで開催している1万~2万人規模のコンサートを誘致できるようにする。

税収に大幅な伸びは期待できない。市は遊休地の売却や市電の上下分離などで333億円の財源を捻出する構え。築30年以上の公共施設が6割を占め、統廃合しながら更新ラッシュに対応していく。行政の無駄をさらに減らす一方、限られた予算を戦略的に重点配分できるかに注目したい。

(山中博文)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]