自宅の瓦が隣家のガラス割る 台風被害で賠償は必要か
弁護士 志賀剛一

眠れぬ人の法律クリニック
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2019/10/24 3:00
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ちなみに、自然災害のうち地震によるものの場合、過去には、通常発生することが予測可能な震度は5で、震度6以上の場合は不可抗力とした判例もありましたが、東日本大震災以降の判例は「当時、首都圏で震度6強の地震が発生することは想定されていた」と解する判例が登場しています。

このため、現在は少なくとも震度6程度の地震はどこでも起こりうるものとして、これに耐えられる程度の強度を備えていることは、「通常有すべき性能」と解される可能性があります。

■一連の被害「まだ継続」か

相談の事例に話を戻します。今回の台風で相談者の地域の最大風速がどの程度であったのかわかりませんが、自宅の屋根瓦は「前回の台風で屋根瓦の一部が破損していたのにすぐに修理をしなかった」とのことなので、少なくとも今回の台風の時点では「通常有すべき性能」を有しておらず、設置・保存に瑕疵があったという見方もできます。

しかし、1カ月前の台風が、千葉で最大瞬間風速57.5メートルを記録し観測史上1位となるなど記録的な暴風となった台風15号のような「風台風」だったとすると、前回の台風で屋根瓦の一部が破損したこと自体は不可抗力と解される余地が十分にあり、次の台風が時期的に近接して襲来した場合、「すぐに修理をしなかった」のではなく、相談者が言うように業者の手配などが間に合わず「修理ができなかった」のでしょう。

台風によって想定外の猛烈な強風が2日間続いた場合、1日目に屋根瓦が外れ、2日目にそれが飛散して他人に損害を与えた場合、それは一連のものとして不可抗力と判断されるはずです。同様に、相談者が被災した2つの台風は時期的に1カ月程度離れているものの、考え方としては、一連の被害がまだ継続していると解すべきではないでしょうか。

具体的な事情や事実関係がわからない中での私見ですが、私としては隣家への賠償の必要性は小さいように思います。

志賀剛一

志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。
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