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英政権、「10月末離脱」へ議会と攻防 関連法案提示へ

【ロンドン=中島裕介】英議会が英政府と欧州連合(EU)が合意した新離脱案の採決を先送りしたものの、ジョンソン英首相は「10月末離脱」の公約の実現をあきらめていない。21日には離脱の実現に必要な法案を英議会へ提出し、早期成立を目指す構えだ。ただ残された時間は少ない。議会の賛同を得て円滑な10月末離脱を実現するための道筋は描けていない。

ジョンソン英首相はなお10月末離脱の実現を諦めていない(19日、英議会)=ロイター

「10月31日までに手続きを完了する自信を今でも持っている」。ジョンソン氏は19日夜にEUに送った書簡で強調した。英政府は法律で、19日までに新離脱案を議会が承認しなければ、離脱期限を10月末から2020年1月末まで延長するようEUに要請する義務を負っていた。

しかし、ジョンソン氏は10月末離脱をまだあきらめていない。ジョンソン氏は署名のない書簡でEUに延期を求めた一方で、10月末離脱にこだわる姿勢をアピールした書簡には署名した。

10月末離脱の実現へジョンソン氏は週明けから必要な立法手続きを進める構えだ。19日の英議会で可決した修正動議は「離脱を実行するための関連法案の成立まで、新離脱案の承認は保留する」と求めていた。それに沿って関連法案の成立を急ぎ、離脱案の早期承認にこぎつける戦略だ。

英議会の資料によると21日には、バークレイEU離脱担当相が離脱関連法案を英議会に説明。22日以降に下院で本格審議に入る見通しだ。ただ10月末まで残り約2週間で日程は厳しい。さらに英政府は21日に新離脱案をもう一度議会に示す予定だ。ただ、これが採決に至るかは不透明だ。下院のバーコウ議長が議会の意思に反するとして認めない可能性もある。

ジョンソン政権は与党が下院で過半数を下回っており、議事進行の主導権を失う可能性もある。労働党などは10月末の離脱阻止に主眼を置く。ジョンソン氏の思惑通り審議が進むとは限らない。

議会で過半数の賛成を得られるかも難題だ。関連法案は農漁業、移民といったテーマ別の細かい議論が必要になる。野党・自由民主党の中堅議員は「各党はそれぞれのテーマ別に修正案や対抗策を出すだろう」とみる。審議過程で英政府に不利な事実が判明し、支持が離れる展開もあり得る。

19日の修正動議では首相に閣外協力してきた英領北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)が野党に同調して賛成に回り、採決先送りにつながった。10月末離脱の実現には、DUPの賛同がカギを握る。ただDUPはアイルランド島と英国本土の間に税関検査を設ける新離脱案は英国と北アイルランドの分断を招くとして反発。説得は容易ではない。

ジョンソン氏が離脱延期を求める書簡にサインしなかった点も波乱要因だ。次の総選挙をにらみ、最終的に離脱延期になっても「野党に邪魔された」と主張するための伏線なのは間違いない。離脱延期法の趣旨に反する恐れもあり、英BBCは「裁判になり最高裁まで行く案件かもしれない」と指摘する。

EU側は、週明けの英側の情勢を見極めて、延期要請への対応を協議する。離脱延期には新離脱案の英議会による承認が10月末に間に合うかを見極めつつ、月末までにEU27カ国の全会一致の同意を得るという難しい調整が必要になる。ジョンソン氏が10月末離脱にこだわって「合意なし」のままEUを離脱するリスクもなお残っている。

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