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シリア停戦合意、米・トルコで解釈に隔たり

【ワシントン=中村亮、イスタンブール=木寺もも子】シリア停戦合意の解釈をめぐり、米国とトルコの隔たりが早くも表面化してきた。シリア北部に設ける安全地帯について、トルコは国境沿いのほぼ全域を想定するが米国は一部に限定されると主張する。18日にはトルコ軍がシリア北部で民間人や病院を標的に攻撃を仕掛けたとの報道もあり、シリア情勢の混乱が収まるかは不透明だ。

トルコのエルドアン大統領は17日、首都アンカラでペンス米副大統領と会談し、シリア北部での軍事作戦を120時間停止することで合意した。トランプ大統領は18日、エルドアン氏との電話後にツイッターで、トルコや同国と対立するシリアのクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」が停戦維持を望んでいると指摘。「双方に善意が見られ、成功の大きなチャンスがある」と強調した。

だが停戦合意の認識に隔たりも浮かび上がってきた。エルドアン氏は18日の記者会見で、米国と合意した「安全地帯」の範囲は国境沿い444キロメートルにまたがるとの認識を示した。トルコは安全地帯に100万人以上のシリア難民を移住させる構想を掲げる。一方で米国やSDFはトルコが軍事作戦で奪取済みの北部テルアビヤドとラス・アルアインの2都市の間の約120キロを想定する。

17日の共同声明では、安全地帯の範囲を定義しておらず双方の認識が焦点になっていた。トルコはSDFが安全地帯から退去しなければ軍事作戦を22日にも再開する方針だが、そもそも安全地帯の定義が当事者間でかみ合わない。

トルコが安全地帯を設けるとする範囲には北部コバニなどのクルド人が多い要衝も含まれる。SDFがコバニの支配をトルコ軍に委ねるのは考えにくいとの見方がある。コバニにはSDFと手を組んだシリアのアサド政権軍も進軍しており、トルコの支配を受け入れるかは不透明だ。

停戦合意の危うさを露呈する出来事もすでに起きた。ロイター通信によると、SDFの報道担当者は18日、トルコ軍がラス・アルアインでSDFの兵士と思われる人や市民の住居に対して空爆や砲撃を行っていると主張し「停戦合意に違反する」と訴えた。一方でエルドアン氏は「偽情報だ」と真っ向から否定し、非難合戦が続く。

停戦継続のカギを握るのはロシアだ。ロシアはトルコやSDF、アサド政権と関係を構築しており、それぞれと利害調整ができるからだ。トルコとアサド政権は事実上の断交状態にあるが、ロシアを介して対話する可能性はある。エルドアン氏も18日、トルコが求める安全地帯を実現するには「ロシアとの話し合いが必要だ」と認めた。

エルドアン氏は22日、ロシア南部ソチでプーチン大統領と首脳会談を予定する。安全地帯の範囲や同地帯の監視体制について協議するとみられる。

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