海外王室と深めた交流 天皇、皇后両陛下

「令和」新時代
2019/10/19 2:00
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オランダのアレクサンダー皇太子(当時、右から2人目)一家の案内で、王室馬車庫をご覧になる天皇、皇后両陛下と愛子さま(2006年8月、アペルドールン)=共同

オランダのアレクサンダー皇太子(当時、右から2人目)一家の案内で、王室馬車庫をご覧になる天皇、皇后両陛下と愛子さま(2006年8月、アペルドールン)=共同

22日の即位の礼には、世界各国の要人が儀式に参加するため来日する。他国と良好な関係を深める国際親善は皇室が担う重要な役割の一つだ。とりわけ、各国の王室とは長い時間をかけて交流を深め、強い絆を築いてきた。各国で国王の世代交代も相次ぐ中、即位されたばかりの天皇陛下の「人脈」にも注目が集まる。

■英国

皇室と英王室とのゆかりは深い。近代以降に来日した外国の王族は、1869年の英国第2王子エディンバラ公が最初とされる。昭和天皇は皇太子時代の1921年に英国をはじめ欧州各国を訪問し、上皇さまも19歳だった53年に昭和天皇の名代としてエリザベス女王の戴冠式に参列された。

天皇陛下は学習院大卒業後の83~85年に英オックスフォード大に留学し、18世紀のテムズ川の水運を研究。学生寮に寄宿し、初めてクレジットカードで買い物をしたり、パブでビールを飲んだりするなど、日本では経験できない自由な生活も楽しまれたという。後に回想録で「今日の私の生き方にどれだけプラスになっているか」とつづられた。

ウィンザー城にある英王室図書館で、エリザベス女王夫妻から日本皇室ゆかりの所蔵品について説明を受けられる天皇陛下(2001年5月、ロンドン郊外)=共同

ウィンザー城にある英王室図書館で、エリザベス女王夫妻から日本皇室ゆかりの所蔵品について説明を受けられる天皇陛下(2001年5月、ロンドン郊外)=共同

戦後、英国は皇族方の主要な留学先となっている。秋篠宮さまはオックスフォード大で動物学を専攻。長女の眞子さまはレスター大大学院で博物館学を、次女の佳子さまは短期留学したリーズ大で舞台芸術や心理学などを学ばれた。三笠宮家の彬子さまは2004~10年にオックスフォード大に留学し、哲学博士の学位を取得された。

皇室と王室の交流も盛んだ。90年に行われた前回の即位礼正殿の儀には、チャールズ皇太子と故ダイアナ元妃が参列。上皇ご夫妻は12年、エリザベス女王の即位60周年祝賀行事に出席するため訪英した。天皇、皇后両陛下は皇太子夫妻時代の15年、来日したウィリアム王子と東宮御所(当時)で懇談されている。

■オランダ

オランダでは2013年、高齢となったベアトリックス前女王の退位を受け、長男のウィレム・アレクサンダー国王が即位した。天皇陛下は国王と同世代で、これまでも親しい交流を重ねられてきた。

代表的なのが安全な水の確保や治水といった水問題への取り組みだ。陛下は皇太子時代の07~15年に国連の「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁を務め、各国で講演などをされてきた。国王も06~13年に同委員会で議長を務め、共に水問題の解決に力を尽くしてきた間柄だ。

私的な交流も続いている。天皇、皇后両陛下と長女の愛子さまは06年に同国を訪れ、約2週間静養された。皇后さまの療養も兼ねたもので、前女王の招待で実現した。両陛下は13年にも同国を訪れ、現国王の即位式に出席されており、皇后さまにとって11年ぶりの外国公式訪問となった。

同国は日本が江戸時代の鎖国中も交流した唯一の西洋の国。欧州の物流拠点としても重要で、多くの日本企業が進出するなど、歴史的に両国の関係は深い。ただ、第2次世界大戦中の戦争捕虜の取り扱いを巡り、戦後はオランダ国民に強い反日感情が残っていた。

00年に同国を訪問した上皇ご夫妻は戦争犠牲者の慰霊塔に献花し、元抑留者とも面会された。学生寮の窓越しに学生と歓談する姿なども同国民に好意的に受け止められ、同国の国民感情を和らげる契機になったとされる。

■ブータン

ヒマラヤ山脈の東端に位置するブータンは人口約75万人の仏教国。政府が国の豊かさを測る指標として「国民総幸福量(GNH)」を掲げ、物質的な豊かさより精神的な満足度を重視していることで知られる。ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王は2006年に父親の退位を受けて即位した。

衆院本会議場で演説するブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王(2011年11月)

衆院本会議場で演説するブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王(2011年11月)

国王夫妻は結婚直後の11年11月に国賓として来日。当時入院中だった上皇さまに代わり、皇太子時代の天皇陛下が宮殿で会見し、宮中晩さん会などでもてなされた。陛下は1987年に国際親善のため同国を訪問されている。

近年も皇族による訪問が相次ぐ。秋篠宮家の長女、眞子さまは17年に同国を訪れ、首都ティンプーで開かれた「花の博覧会」などに出席。19年8月には秋篠宮ご夫妻と長男の悠仁さまが夏休みを利用し、同国へ私的に旅行された。

■サウジアラビア

天皇、皇后両陛下が1994年に結婚後、初めて訪問された国がサウジアラビアだった。

首都リヤドで当時のファハド国王や王族らと交流し、王室ゆかりの史跡や油田なども見学された。「水もなきアラビアの砂漠に生え出でし草花の生命(いのち)たくましきかな」。砂漠に力強く根を張る小さな草を見た当時の感動を、陛下は2009年の歌会始でこう詠まれている。

サウジアラビアのサルマン国王(2017年3月、首相官邸)

サウジアラビアのサルマン国王(2017年3月、首相官邸)

その後も陛下は王族らの弔問で同国をたびたび訪問されている。現在のサルマン国王が17年に来日した際には、当時皇太子だった陛下が空港で出迎えられた。

世界最大級の石油埋蔵量を誇る同国では17年に皇太子に就いたムハンマド王子が中心となり、石油に依存した経済からの脱却を図っている。18年には女性の自動車運転が解禁されるなど、国内では急速な社会変化が起きている。

■タイ

日本の皇室とタイ王室とは50年以上にわたって、家族ぐるみの親密な関係が続いている。

上皇さまは皇太子時代から故プミポン前国王と親しく交流され、天皇に即位後初めての外国訪問先も同国だった。2006年には国王の即位60周年を祝う式典に上皇后さまと共に出席したほか、在位中最後となった17年のベトナム公式訪問の帰路にもタイに立ち寄り、現在のワチラロンコン国王に弔意を伝えられた。

同国との交流は上皇さまの子世代にも引き継がれており、中でも訪問回数が多いのが秋篠宮さまだ。これまでに約20回、研究活動や旅行などで同国を訪問しており、同国での長年にわたる淡水魚や家禽(かきん)の研究が評価され、複数の大学から名誉博士号を授与されている。17年に行われた前国王の葬儀には、秋篠宮妃紀子さまと共に参列された。

■トンガ

ニュージーランドの北約2千キロの南太平洋に位置するトンガ。人口約10万人、農業や漁業を主産業とする島国だ。天皇陛下はこれまでに3回、国王の葬儀や戴冠式出席のため同国を訪問されている。

現在のツポウ6世国王は2012年に兄でもある前国王の死去を受けて即位し、15年に戴冠式が首都ヌクアロファの教会で挙行された。皇太子夫妻時代の天皇、皇后両陛下が出席し、王女と並んで最前列から儀式を見守られた。出発前夜には国王から両陛下の宿泊先に子豚の丸焼きといった伝統料理が届けられるなどのもてなしを受けられた。

前国王は親日家として知られ、頻繁に日本を訪問した。英オックスフォード大留学時代、三笠宮家の寛仁親王と学友だった縁もあり、11年に訪日した際は上皇ご夫妻や陛下に加え、寛仁親王とも面会している。

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