カナダ総選挙、与党が苦戦 成長鈍化に首相醜聞も打撃

2019/10/18 20:26
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【ニューヨーク=高橋そら】10月21日投開票のカナダ下院選挙で、ジャスティン・トルドー首相(47)が率いる中道左派の与党・自由党が苦戦している。9月の解散前には単独過半数の議席を占めていたが、直近の世論調査では最大野党・保守党が支持率で自由党をわずかに上回った。背景には経済成長の鈍化や先進的な環境政策への反発があるとみられ、トルドー氏の醜聞も打撃となっている。

下院(338議席)は解散前時点で、自由党が177議席と単独過半数を占め、最大野党で中道右派の保守党は95議席で第2党だった。しかしカナダ放送協会(CBC)の17日時点の調査では、保守党の平均支持率は32.1%と、自由党(31.1%)をやや上回った。

カナダ経済は、原油価格の低迷や最大の貿易相手である米国の保護主義政策の影響などで減速気味だ。国際通貨基金(IMF)によると2017年に3%だった実質成長率は19年に1.5%に半減する見通しだ。経済減速への有権者の不安は強い。

自由党を率いるトルドー氏個人の醜聞も同党に打撃となった。2月に地元ケベック州の大手企業の贈賄事件をめぐり、刑事訴追を控えるようトルドー氏が司法当局に圧力をかけたことが発覚した。9月中旬には同氏が過去に顔を黒く塗る人種差別的な仮装をしていたことも分かり、中道左派のリーダーとしてのイメージが大きく悪化した。

現状ではいずれの党も単独過半数を確保するのは難しいとの見方が大勢だ。第1党が単独過半数に満たなかった場合は、少数政党の閣外協力が不可欠となる。

カナダは環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国で、米と安全保障上の機密情報を共有する5カ国「ファイブアイズ」のメンバー国でもある。カナダの総選挙の結果は日本の経済や安全保障にも少なからぬ影響を与えることになりそうだ。

仮に政権交代すれば環境や移民、対中政策が大きく変わる可能性が高い。トルドー氏は50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現すると公約した。

対策が遅れている4州に排出量に応じて課税する「連邦炭素税」も新たに導入した。一方、保守党のアンドリュー・シーア党首(40)は「企業や国民の負担が重い」として同税の撤廃を主張している。

イプソス社が9日発表した世論調査結果(複数回答)によると、有権者が投票先を決める際に重視する政策のうち「気候変動」は29%で「医療」(35%)に次ぐ2位に入った。経済が減速するなかで気候変動の対策コストを巡っては世論の賛否が割れている。

対中外交の分野でも政策が異なる。カナダ当局は18年12月に中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕し対中関係が急速に悪化した。

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