中部電、電事連会長に再登板 背中押した2つの危機感

2019/10/18 19:00
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中部電力の勝野哲社長が18日、大手電力の業界団体、電気事業連合会の会長に再登板した。金品受領問題で岩根茂樹前会長(関西電力社長)が辞任し、バトンが急きょ回ってきた。当初は後ろ向きだった勝野氏の背中を押したのは、電力業界全体の企業統治(ガバナンス)とリーダー不在への危機感だった。

電事連会長に再登板した中部電の勝野哲社長(18日)

電事連会長に再登板した中部電の勝野哲社長(18日)

18日の会長就任会見で勝野氏は「業界一丸となって信頼回復を目指す」と述べたうえで、こう強調した。「会長経験者でもある私が先頭に立ってコンプライアンス(法令順守)を徹底する」。関電の金品受領問題が明らかになったのが9月下旬。勝野氏は6月まで電事連会長を務めており、わずか4カ月で異例の再登板となった。

■「適任者は他に」

しかし、当初は再登板に乗り気ではなかった。会長職を関電に引き継いだ直後から「ようやく肩の荷が下りた」とポストに未練を見せず、一連の問題で関電・岩根氏の辞任が避けられない見通しになってもその姿勢は変わらなかった。「(電事連会長の)適任者は他にいる」。それは勝野氏が周囲に繰り返し漏らしていた言葉が裏付ける。

一方で電事連にも厳しい姿勢を貫いていた。関電問題の温床にあるのは、原子力発電所をめぐる地元と電力大手の蜜月とも映る関係。「他の電力も金品を受け取っていたのではないか」。企業統治の欠如が懸念されるなか、一向にメッセージを出さない電事連に勝野氏は「業界団体として関電以外に同様の事象はなかった、と声をあげるべきだ」といらだちにも似た危機感を募らせていく。

■「保守的」の姿一変

10月上旬以降、関電問題の根深さが伝わると、電力業界でも「この危機を乗り切るには勝野氏に任せるしかない」という空気が高まっていった。電力小売りの自由化、発送電部門の分離、相次ぐ自然災害で浮き彫りになった電力インフラの脆弱性――。一大転機に業界のリーダーが不在になることを避けたいとの思いは電力各社に共通する。

中部電は既存の火力発電事業を東京電力ホールディングス(HD)との新会社JERA(東京・中央)に移管。大阪ガスとは首都圏の小売事業で新会社を立ち上げるなど経営改革を急いでいる。「保守的」と呼ばれたかつての姿はなく、業界をけん引する気概は以前と比べものにならない。

一方、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)は再稼働の道筋が見えず、電力小売りでは東電HDや東邦ガスに攻め込まれている。本来ならば自社の課題に専念したいはずだろう。それでも業界のリーダーを引き受けた勝野氏。強い責任感で難しいかじ取りに挑む。

(湯浅兼輔)

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