京アニ社長「犠牲者の志 受け継ぐ」 事件から3カ月

2019/10/18 14:31 (2019/10/18 19:24更新)
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放火殺人事件から3カ月たち、記者会見する京都アニメーションの八田英明社長(左)=18日午後、京都市下京区

放火殺人事件から3カ月たち、記者会見する京都アニメーションの八田英明社長(左)=18日午後、京都市下京区

京都アニメーションのスタジオ(京都市)で起きた放火殺人事件で、同社の八田英明社長が18日、京都市内で記者会見し「(犠牲者の)志を受け継いでいく」と再建の決意を述べた。事件から3カ月。負傷者33人のうち27人が職場復帰したという。「世界中にこれからも発信していく」と誓う一方で「なかなか日常には戻れない」と心境を語った。

事件発生時、スタジオ内には70人の社員がおり、うち36人が死亡した。犠牲者への思いを問われると「一言では申し上げられない」と苦しい胸の内を明かし「30年近くいた人も、今年4月に入社した人もいた。あなたたちの志、思いを受け継いでいく」と語った。

事件現場となったスタジオについては「大事な建物がああいう形になり心が痛い」と語った。調整がつき次第、取り壊す予定で、跡地の利用方法は関係者と協議するとした。

負傷者の多くが職場復帰したが、事件後に退職した社員もいるという。京都府警によると、現在も4人が入院している。会見に同席した広報担当者は「いまだに強いストレスを感じているスタッフもいるが、お互い声を掛け合い、支え合いながら次の作品に向けて業務に取り組んでいる」と説明した。

2020年1月に予定していた「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の新作公開は同年4月以降に延期するものの、クリエーター全員で制作に取り組んでいるという。他の作品の公開については未定とした。

国内外から京アニ復活を望むメッセージが寄せられ、義援金は31億9千万円に達した。八田社長は夫婦で会社を立ち上げた38年前を振り返り「ここまで多くの人の心に届いていることを初めて知って驚いている」と述べ、感謝の気持ちを表した。

京アニは自社で人材を育成することで「京アニクオリティー」と呼ばれる質の高い作品を生み出してきた。事件の犠牲者には、人材育成を担っていたクリエーターも含まれる。八田社長は「人材育成に近道はない。また昔のように、肩を寄せ合って、ともに学んでいく場を大事にしていきたい」と話した。来年の採用に向けた入社試験には各地から希望者が来ているという。

事件後、京アニが警察や報道側に実名報道を控えるよう申し入れたことについて、代理人弁護士は「遺族が一人でも名前の公表を望まないなら控えようという方針だった。遺族の多数がそのような意見だった」と説明した。

京都アニメーションは18日、京都市内で11月3、4日に「お別れ そして志を繋(つな)ぐ式」を行うと発表した。祭壇を設け、同社に寄せられたメッセージを抜粋して展示するという。会場は京都市勧業館「みやこめっせ」。午前10時~午後5時で入場無料。

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