米中貿易戦争、部分合意は「不十分」 IMF専務理事

2019/10/18 1:59
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【ワシントン=小太刀久雄】国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事と世界銀行のマルパス総裁はそれぞれ、米国時間17日午前(日本時間17日夜)にワシントンで記者会見を開いた。世界経済の減速に懸念を示し、主因の1つである米中貿易戦争はさらなる対話が必要と指摘した。英国の欧州連合(EU)離脱問題も不透明感が残る。景気刺激策としての金融政策には限界があり、構造改革が必要との認識も示した。

世界経済について語るIMFのゲオルギエワ専務理事(中央)

IMFのゲオルギエワ専務理事は、米中による貿易摩擦をめぐる部分合意について「不十分だ」と指摘した。IMFはこれまで、米中貿易戦争が世界経済の成長率を約0.8%(約7000億ドル相当)押し下げるとの試算を出していた。今回の部分合意により、世界経済へのマイナス影響は0.2ポイント分が緩和される可能性があるという。

11日までに米中が達した合意内容は、米国が15日に予定していた2500億ドル相当の輸入品への制裁関税引き上げを回避し、中国は400億~500億ドルの米農産物を購入することが柱だ。ただ、これまで両国が課してきた追加関税は残ったままで、周辺国にも影響を与えている。ゲオルギエワ専務理事は「停戦ではなく平和が必要で、貿易が再び世界経済の成長エンジンとなるよう今後の進展に期待する」と語った。

世銀のマルパス総裁は「世界経済は減速しており、投資や製造業の活動は弱含み、貿易は縮小している」と懸念を並べ立てた。英国による欧州連合からの離脱問題については「経済成長には安定した環境が必要だが、ブレグジット(英離脱)は不確実性をもたらしている」と語った。

17日に英国とEUは離脱条件の修正で合意したが、英議会が承認するかまだ不透明だ。IMFはもし「合意なき離脱」になれば英国の経済成長を3.5~5%押し下げると試算している。

各国のマクロ経済運営にも注文がついた。マルパス総裁は「多くの国はすでに追加の財政・金融政策を打てる余地が少なく、構造改革が欠かせない。世界で15兆ドル超の債券は利回りがゼロかマイナスに陥っている」と指摘。IMFのゲオルギエワ専務理事は「(世界的に)低金利の期間が長引いており、財政リスクを無視できなくなっている」と語った。両氏とも、世界的な債務の積み上がりに警鐘を鳴らした。

一方、日本経済についてゲオルギエワ専務理事は「ここ数年で良い結果を示し、アベノミクスが貢献している」と述べた。10月に消費税を8%から10%へ引き上げたが、IMFは日本経済の成長率が2019年に0.9%、20年に0.5%と予測。「緩やかになってもポジティブな成長だ」(同氏)とみている。

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