給食から消えた和食 子どもの舌を取り戻せ
和食リセット(3)
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「昆布とかつお節を一緒に口に含んでごらん」
料理研究家の柳原尚之(40)が話しかけると、教室がしんと静まりかえった。少しすると、子どもたちがざわめき始めた。
「あ、おいしい」「いい香りだ!」
小学校で和食を伝える
江戸時代に興り、和食を伝える「近茶流」の継承者である柳原は今、小学校の教壇に立つ。10月半ばのこの日は、東京都千代田区にある私立雙葉小学校を訪れた。担当したのは「味覚の授業」。今年で9回目となる食育活動で、全国の学校を料理人や料理研究家が訪れ、子どもたちに食文化を伝える取り組みだ。
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授業が終わると、教壇には柳原を囲む子どもたちの輪が自然にできた。
「かつお節って木みたいに堅いよ」
「削り器ってこうなってるんだ」
一昔前の人なら当たり前のことにも子どもたちは驚く。多くの子どもにとっては、初めて見るものだからだ。
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和食離れが続いている。好きな料理では焼き肉やラーメンの人気が高まり、コメの消費量は右肩下がりだ。だが、洋食や中華料理に押されているのは、和食がその魅力を十分に消費者に伝えられず、担い手作りが遅れてきたためでもある。反転攻勢に向けて和食を見つめ直し、輝きを取り戻そうとする動きが広がってきた。