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半導体市況 回復基調に TSMC、5四半期ぶり増益

貿易摩擦
エレクトロニクス
アジアBiz
2019/10/17 22:00
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TSMCは5G時代の到来を追い風に、設備投資も大幅に上方修正した=同社提供

TSMCは5G時代の到来を追い風に、設備投資も大幅に上方修正した=同社提供

【台北=伊原健作】世界の半導体業界の復調が鮮明になりつつある。大手の台湾積体電路製造(TSMC)が17日発表した2019年7~9月期決算は、本業の稼ぐ力を示す営業利益が5四半期ぶりに増益に転じた。前年同期比13%増で同期として過去最高となった。米アップルの新型スマートフォンや次世代高速通信「5G」向けの受注が好調で、今期の設備投資も大幅に上方修正した。復調は今後、業界全体に広がる見通し。1年半ほど低迷した半導体業界は転換点を迎えた。

「『5G』向けの半導体需要がここまで膨らむとは、私も予測できなかった」。TSMCの経営トップ、魏哲家・最高経営責任者(CEO)は17日に台北市内で開いた決算会見でこう語り、表情を緩ませた。

売上高は2930億台湾ドル(約1兆円)、営業利益は1078億台湾ドル、純利益は1010億台湾ドルといずれも約13%の2ケタ増。純利益は英リフィニティブがまとめた事前のアナリスト予想の平均を5%も上回った。

1~3月期を底に、業績回復が鮮明になるなか、今後についても魏CEOは自信を見せた。根拠は、20年から本格的な運用が世界中で始まる5G向けの半導体需要だ。

この1年半ほどの半導体需要の低迷は、米中の貿易戦争の影響を受けた面が少なくない。今後も米中摩擦は続く見通しだが一方で、世界では通信規格が5Gへと移行するのはもはや待ったなしのところまで来ている。それが半導体業界に強い好影響をもたらすという。

実際、TSMCの5G向けなどの半導体の最先端品の工場は既に「フル稼働状態にある」(魏氏)ため、今後は大きく増産に急ぐ。今回、19年の設備投資を7月公表時点から、わずか3カ月で大幅に上方修正した。金額は過去最高の年140億~150億ドル(約1兆5000億~約1兆6000億円)。例年の4~5割増と異例の規模になる。

既に華為技術(ファーウェイ)などから5Gの基地局向けの半導体受注が増えており、特に基地局で膨大な通信データを処理する高性能半導体の生産を急ぐようファーウェイはTSMCに強く要請している。性能向上のカギとなる高性能半導体の回路線幅が7ナノ(ナノは10億分の1)メートルの製品は既に注文が満杯状態。来年は5G対応のスマホの新製品ラッシュも見込まれ「需要が本格化する」(同)のに対応する。

TSMCは米アップルのスマホやサーバーなど幅広い機器で演算処理を担う半導体の受託製造で世界最大手。IT(情報技術)業界のインフラとも呼ばれる存在で、ハイテク景気の先行きを占う先行指標として内外の投資家が動向を注視する。

業界では16年から米IT大手のデータセンター向けの投資の急拡大で、「スーパーサイクル」と呼ばれる特需が発生した。18年前半まで続いたが、その後は特需が一服し、スマホ市場も失速。米中貿易戦争の影響も出て、TSMCをはじめ業界は不振に陥った。

ただ今春以降、ジワジワと業界に回復の兆しが見られ始めた。勢いはなく業界も疑心暗鬼でいたが、直近で、各種データの記憶を担う半導体メモリー世界最大手の韓国サムスン電子の7~9月期決算が、営業利益で前四半期(4~6月期)を上回ったことは大きい。業界でも「底入れした」との受け止めも多く出た。

その読みを今回のTSMCの好決算が後押しする形となった。TSMCとサムスンは演算処理向けと記憶向けという半導体の二大分野でそれぞれ先頭を走り、両社の業績が今後の業界の先行きを示す。両社の足並みがこれでそろい、業界は転換点を迎えた。今後は、日本など装置メーカーにも恩恵が広がりそうだ。

TSMCの株価は19年初から3割超上昇して上場来高値圏にあり、時価総額は27兆円を上回った。米中貿易戦争の「一時休戦」への期待も追い風に、主要な世界の半導体株で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も15日、過去最高値を更新した。

関連の有力企業の株価も上昇している。装置大手SCREENホールディングスの広江敏朗社長はTSMCなどが手掛ける演算処理向けについて「人工知能(AI)や『5G』など新技術の開発需要が旺盛だ」と語る。

ただ、手放しで回復は確実だといえる状況ではない。「半導体メモリーの回復はもう少し先になるのでは」(広江社長)との業界の読みも残る。世界の半導体の動向に詳しい台湾の華南証券投資顧問の儲祥生董事長は「米中貿易摩擦の激化を見据え、中国需要が一時的に膨らんでいる面もある。(市況回復は)不確定性をはらむ」と警鐘を鳴らす。TSMCの魏CEOも会見で「今後の貿易戦争次第では半導体産業に悪影響が出る恐れはある」と語った。

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