工藤会襲撃、組トップら23日初公判 命令の有無が焦点

2019/10/17 18:30
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工藤会総裁の野村悟被告の自宅を家宅捜索する福岡県警の捜査員(2015年5月、北九州市小倉北区)

工藤会総裁の野村悟被告の自宅を家宅捜索する福岡県警の捜査員(2015年5月、北九州市小倉北区)

全国唯一の特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)が関与した襲撃事件で、組織犯罪処罰法違反などの罪に問われた同会トップで総裁の野村悟被告(72)らの公判が23日、福岡地裁で始まる。福岡県警の「頂上作戦」による逮捕から5年。実行役の公判などを通じて襲撃への共謀は明らかになりつつあるが、具体的な指揮命令が認められるかが焦点となる。

審理されるのは1998年2月、北九州市で元漁協組合長の男性が射殺された事件や2012年4月の福岡県警元警部銃撃事件など4事件。野村被告とナンバー2の会長、田上不美夫被告(63)が襲撃を指示したとして組織犯罪処罰法違反などの罪に問われている。公判は20年7月ごろまで予定され、証人は4事件で計91人に上る。

すでに各事件の実行役らの公判は進み、3人の有罪が確定。判決は「最上位にあった野村被告が意思決定をした上で序列2位の田上被告らへ順次指揮命令が伝達されたことが合理的に推認できる」と指摘。野村、田上両被告の共謀を認定した。

被害者側が損害賠償を求めた民事訴訟でも今年4月、福岡地裁が組織的犯行と認定し野村被告らに賠償を命じた。同被告側は控訴したが「道義的責任は感じている」として見舞金を支払い、和解による解決を提案しているという。

ただ、いずれの事件でも両被告による命令内容や動機は明らかになっていない。実行役らは一貫して「工藤会が組織的に襲撃しようとしたことはない」「野村被告らの指示が明らかに認められる証拠はない」などと主張。判決も「(両被告と)直接のやりとりはない」とした。

関係者によると、両被告は「知らないところで襲撃が行われた。指示するわけがない」などと話し無罪を主張する方針。

一方、検察側はこれまでの確定判決や元組員らの証言などの証拠を積み重ね、「上位者の指示は絶対」という工藤会の"鉄のおきて"を踏まえ、事件への幹部の関与を立証するという。

「なぜ市民を襲ったのか」 被害者ら、動機解明に期待
 暴力団工藤会は、改正暴力団対策法に基づき「特定危険指定暴力団」に指定されており、不当要求に応じない市民らに暴力行為を繰り返す恐れのある組織として、警察が警戒を続けている。
 市民を狙った襲撃事件の皮切りとされるのは2003年8月、北九州市小倉北区のクラブ「ぼおるど」で起きた事件。暴排運動に取り組んでいた同店に手りゅう弾が投げ込まれ、従業員11人が重軽傷を負った。当時店内にいた女性は「暴力団に立ち向かう市民の見せしめになった。今でも怖い」と声を震わせる。
 これ以降、市民への襲撃はエスカレートしたが、野村被告が逮捕された14年9月以降、類似の事件は起きていない。今回の審理対象となる事件の関係者の一人は「恐怖や怒りは消えるわけではないが、裁判で少しでも動機を明らかにし、二度と暴力団による事件が起こらない社会にしてほしい」と願った。
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