会社法改正案を閣議決定 政府、社外取締役設置を義務化

政府は18日の閣議で、上場企業などに社外取締役の設置を義務付ける会社法改正案を決定した。企業が社内の利害関係にとらわれず、第三者の視点で経営をチェックできる体制を整備する。日本企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)を強化して株式市場の透明性を高め、海外から投資を呼び込む狙いだ。
改正案には「上場会社は社外取締役を置かなければならない」と明記した。(1)監査役会を置き、株式の譲渡制限がない(2)資本金が5億円以上または負債総額200億円以上の大会社(3)有価証券報告書の提出義務がある――のいずれも満たす企業を対象とする。
東京証券取引所(東証)は2015年、上場企業にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を適用し、経営から独立した立場の社外取締役を2人以上選ぶよう求めた。すでに東証上場企業の9割以上が社外取締役を置き、実態が法案に先行している。
ただ日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン被告の報酬過少記載事件や東芝の巨額損失問題など、社外取締役が有効に機能していないと指摘される事例も相次ぐ。
政府は社外取締役の設置を法律で義務付けることで、導入済みの企業にも株主らとの利益相反が起こらないような運用を改めて促す。
株主総会で株主1人が提案できる議案を10件までとする上限を設ける。1人の株主が100件以上を提案した例があり、株主総会の運営をより円滑にする見直しだ。総会資料のインターネットによる電子提供も可能になる。これまでは原則郵送していた。