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ソフト・宇津木監督 観察眼の妙で金メダル期す

Tokyo2020
2019/10/17 18:00
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歓喜に沸いた2008年北京五輪から12年の時を経て、ソフトボールが東京で復活する。再び金メダルを目指す日本を率いるのが、かつて主砲として活躍した宇津木麗華監督(56)だ。自国開催の重圧に加え、宿敵米国という壁を乗り越えるため、選手に寄り添い、骨太なチームをつくろうとまい進している。

選手に寄り添い、一人ひとりの特徴を把握することに努める

選手に寄り添い、一人ひとりの特徴を把握することに努める

8月30日から3日間の日程で行われたジャパンカップ。ファンの視線は顎の骨折から実戦復帰した上野由岐子(37)に注がれた。試合中に打球が直撃してから4カ月。3度の登板は試運転に終始したが、マウンドに戻ってきたことに意味があった。

その大黒柱を精神的に支えていたのが宇津木監督だった。「トラウマが心配だった。マイナス思考にならないように気を使った」。自身が代表活動で海外にいてもこまめに連絡を取り、相談に乗った。「時間はあるよ。治すことが一番」などとフォローし、時には自ら病院に連れて行くことも。焦らせることなく、自然とソフトボールに気持ちが向くのを待った。「金メダルには彼女の力が必要。上野を超える投手はいないから」

目配りはチーム全体にも向けられる。上野と二枚看板を担う藤田倭(28)は、技術は一級品なのに気持ちの揺れが投球に出てしまうのが玉にきずだった。一緒に歩くなどして伝えてきたのは、自身をコントロールすることの大切さ。最近は「責任感が出てきた」と成長を認め、「上野と日本を背負ってほしい」と期待を寄せる。

投手を中心に守り勝つスタイルは日本の強み。その土台を強固にしつつ、投打のバランスも取れてきた。打力は「北京五輪より上」。4番の山本優(31)ら右打者の長打力は頼もしい。ただ、ライバルの米国を倒すのは簡単ではない。一度は引退した左腕のキャット・オスターマンが復帰、東京五輪を見据えて戦力を整える。「打者のパワー、投手のスピード、変化球、経験は日本より上かも」

ならば、日本は何で対抗するのか。宇津木監督が指摘するのが「ゲームの読み、1球で仕留める能力」だ。進塁打やバントもどこに転がすのが効果的かを考えさせ、徹底させる。選手に求めるのは一球一打を無駄にしない戦略の遂行力だ。

大けがに見舞われた大黒柱の上野(左)を精神的に支えた

大けがに見舞われた大黒柱の上野(左)を精神的に支えた

自身も、的確な采配を振るうための努力を惜しまない。携帯電話には普段から選手の特徴など気づいたことを打ち込み、見直している。「最近すぐ忘れちゃうし、書くのは遅いから」と苦笑いするが、この観察眼が勝負どころでの勘を養う素地になっている。もともと無死や1死三塁からヒット・エンド・ランで1点をもぎ取りにいくような勝負師の一面を持つ。「私は勝負の世界で生きている人間。勝つか負けるかしかない。怖いとか言っていられない」

空白期間を埋める五輪"連覇"が、ソフトボール界の発展にどれだけの効果をもたらすか。その使命感が今の原動力になっている。「とにかく自分の持っている全てを伝えないといけない」。残りの約9カ月、後悔のないようにあらゆる準備を尽くすつもりだ。

(渡辺岳史)

 東京五輪のソフトボールは開会式に先立つ7月22日、福島あづま球場で全競技の先陣を切って始まる。北京五輪よりも2チーム少ない6チームが出場して総当たりの1次リーグを行い、1、2位が決勝へ、3、4位が3位決定戦に進む。9月下旬には全チームが出そろい、開催国の日本以外に昨年の世界選手権を制した米国やイタリア、メキシコ、カナダ、オーストラリアが参加する。
 米国は言うまでもないが、宇津木監督が警戒するのがメキシコやカナダだ。「米国の2軍みたいな選手がいて、全く油断できない」。以前なら「ページシステム」と呼ばれる敗者復活戦を含んだ変則トーナメント方式でリーグ3、4位でも優勝できたが、今回は取りこぼしが致命傷になる可能性がある。投手のやり繰りが難しく、対戦する順番も戦う上でカギになってきそうだ。

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