最高益ネットフリックスに迫る「11月」 新顔続々で混戦

2019/10/17 13:57
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ネットフリックスのロゴ(カリフォルニア州)=ロイター

ネットフリックスのロゴ(カリフォルニア州)=ロイター

【シリコンバレー=佐藤浩実】米ネットフリックスがしぶとさを見せつけた。16日に発表した7~9月期決算は売上高・純利益ともに過去最高を更新。人気作品の配信が貢献し、前の四半期は低調だった契約者数の伸びも持ち直した。ただ動画配信をめぐる競争が本格化するのは11月。新たに参入する米アップルや米ウォルト・ディズニーはすでに会員獲得に動き出しており、消費者の奪い合いは激しさを増す。

「7~9月期として最も契約者が増えた」。株式市場の警戒心をぬぐうように、ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は言い放った。

世界の有料会員数は6月末と比べて677万人増え、1億5833万人。「全裸監督」など米国外で制作した作品が海外の会員拡大に貢献し、予想の「700万人増」に近い水準を達成した。売上高は前年同期比31%増の52億4491万ドル、純利益は同65%増の6億6524万ドル。成長を確認できた安心感から、直近3カ月で2割以上落ちていた株価も16日の時間外取引で急上昇した。

もっとも、ネットフリックスを取り巻く環境は11月に変わる。

「お客さんからよく質問を受けますよ。1年間タダで見られますからね」。米シリコンバレーにあるアップル直営店のスタッフは、iPhoneなどの購入者に提供している「アップルTV+(プラス)」の無料視聴特典についてこう話す。iPhoneの販売台数は年に約2億台。11月1日に始めるTVプラスは年末商戦にかけて"将来の有料会員候補"を一気に手に入れることになる。同12日に動画配信サービスを開始するディズニーも8月以降、「3年割引」などを掲げて会員の囲い込みを進めてきた。

ネットフリックスのヘイスティングス氏は「ディズニーは偉大な競争相手になり、アップルもいくつかの素晴らしい作品をつくるだろう」としつつ、「根本的には大きな変化ではない」と言う。すでに米アマゾン・ドット・コムの「プライムビデオ」や「Hulu(フールー)」といった動画配信サービスが存在しており、参加者が増えるだけとの見方だ。「ともに従来型のテレビ放送と戦う」とさえ話す。

ただ、競争相手が同じように考えているとは限らない。アップルが掲げた月5ドル、ディズニーの月7ドルという価格設定には、利益水準を高めようと値上げを進めてきたネットフリックスへの対抗心がにじむ。さらに米ウォール・ストリート・ジャーナルは10月上旬、ディズニーが傘下の放送局でネットフリックスの広告を扱わない方針だと報じた。マーケティング活動まで敵視するというわけだ。

米国などの消費者は複数の有料番組にお金を払うことに慣れており、複数社が共存共栄することは可能だ。ただ無料の動画配信アプリで若者の支持を集める米Tubiのファハド・マッソーディCEOは「消費者の懐事情や管理の手間を考えれば、お金をかけて視聴するサービスは3つまでだ」と指摘する。

参入者が増えれば、誰かが脱落する。米証券会社ニーダム&カンパニーのローラ・マーティン氏は「(価格施策などを見直さなければ)ネットフリックスは20年に米国の会員を500万~1千万人失うだろう」と見る。

ネットフリックスは10~12月期も米国と海外の両方で会員数が伸び、世界の有料会員の数は9月末時点と比べて760万人多い1億6593万人に拡大するとの予想を示した。16日の決算会見では「過去数年で最も正確な予想ができた」と7~9月期を笑顔で振り返ったヘイスティングス氏。3カ月後も同じ発言ができるだろうか。

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