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マラソン札幌開催案、IOCに危機感 ドーハも引き金

ドーハの世界選手権女子マラソンで水分補給する日本選手たち=山本博文撮影

2020年東京五輪のマラソンと競歩について、国際オリンピック委員会(IOC)が猛暑を懸念して開催地を札幌市に移す検討に入った。これまでも暑さは運営課題として認識され、スタート時間を早めるなどの対応が取られてきた。IOCが混乱も伴うこの時期の計画変更を提案した背景には、9月末~10月初めにカタール・ドーハで行われた世界選手権の惨状も影響したと思われる。

高温多湿の悪条件で行われた世界選手権は、マラソンと競歩のスタート時間が午後11時30分~午前0時の間に設定された。にもかかわらず、女子マラソンはスタート時の気温が32.7度、湿度73.3%と高く、出場選手の4割超に当たる28選手が途中棄権。男子50キロ競歩でも出場46選手のうち、14人がゴールにたどりつけなかった(失格者を除く)。

女子マラソンに所属選手を送り出した天満屋の武冨豊監督は「2度とこういうレースは走らせたくない」と選手の受けるダメージの深刻さに懸念を示していた。レース後数日たっても微熱が続くなど、体調不良を訴える選手もいたという。

選手や関係者から不安の声が上がり、「アスリートファースト(選手第一)」を掲げるIOCも危機感を強めたようだ。トーマス・バッハ会長は変更検討について「マラソンと競歩の開催地を移す新たな提案は、我々がどれほど深刻な懸念を持っているかの表れだ」とのコメントを出した。

実際、東京大会に懸念を示す声は上がっていた。競歩は皇居外苑を周回するコースで日陰が全くない。今回の世界選手権男子50キロで金メダルを獲得し、東京五輪代表に決まっている鈴木雄介選手(富士通)も「選手や観客、運営の方々の健康を考えても、陰のあるコースにしてほしいと強く願っている」とかねて見直しを訴えていた。

一方で、IOCの突然の方針転換に戸惑いも広がる。既に多方面で準備が進んでいるからだ。9月15日に五輪本番とほぼ同じコースで行われた日本代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ」はテスト大会を兼ねて行われ、チケットも既に発売済みで対応が迫られる。

気象条件やコースを踏まえた現場の本番対策も進んでいた。女子マラソンの山下佐知子・日本陸連五輪強化コーチは「全く聞いていなかった。(日本選手は)暑さの中のレースでないと勝負できないと思っていたので驚きだ」と困惑している。

(渡辺岳史)

マラソングランドチャンピオンシップで新国立競技場を背に疾走する男子のランナー(9月15日、東京都新宿区)

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