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強豪の背中見えた 中堅国、得失点差を最少に

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は1次リーグ40試合(中止分を含む)を終え、19日から準々決勝に突入する。英国とその旧植民地を中心に発展したスポーツの真の国際化を目指し、"フロンティア"とにらむアジアで初めて開かれた今大会。初の8強入りを果たした日本が象徴するように、1次リーグの結果からは、伝統国とそれ以外の力の差が縮まっている様子がうかがえる。

 ウェールズ―フィジー 後半、突進するフィジーのラドラドラ(中央)=共同

ラグビーで「ティア1」と呼ばれる伝統国・地域は欧州6チームと南半球4チームの計10チーム。日本も含むそれ以外の「ティア2」にとっては、毎回W杯で大きな壁だ。だが、今回の1次リーグで「ティア2」との試合の「ティア1」の平均得失点差は30.79点。現行大会方式となった2003年以降で最少だった。日本がアイルランド、スコットランドという強豪に勝ったのが寄与した。

日本の湿気に慣れない伝統国の選手がボール扱いに苦労した影響もあったかもしれない。ただ、03年大会では約45点あった得失点差は大会ごとに漸減。前回の31.33点からは微減だが、昔に比べて大味な試合が減り、拮抗した展開が増えているのは確か。アマチュア選手もいるウルグアイがランキング上位のフィジーを破り、そのフィジーがウェールズと激闘を繰り広げたのも印象深かった。

国際統括団体ワールドラグビー(WR)はティア2にコーチを派遣したり、基盤の弱いラグビー協会を財政支援したりしてきた。ブレット・ゴスパー最高経営責任者(CEO)は15日の記者会見で、フィジーのWTBラドラドラがボールを運んだ回数と距離、相手防御を突破した回数で全体の1位になったと指摘。「我々の投資の重要性を裏付けている」と強調した。

日本も開催国としてWRから配慮を受け、前回大会以降、ティア1の10チーム全てとテストマッチを組めた。肌感覚で強豪を体験したことが、今回の躍進につながる。WRは20年からティア2とティア1の対戦を現状より4割近く増やす計画を発表しており、日本での成功例を他にも広げたい考えだ。

一方で、「感動的でドラマチックで素晴らしい1次リーグになった」というゴスパーCEOの言葉を額面通りに受け取れない影もある。サモアとトンガ、フィジーという南太平洋諸国はフィジカルに強い選手を伝統的に輩出するが、主力は富める欧州リーグに流出。フランスリーグはW杯期間中も開かれるため、クラブの圧力で招集できない選手がいた。

3大会連続で3チームとも1次リーグ敗退。国の経済格差が、ラグビーの格差を固定化しかねない状況だ。ゴスパーCEOもフランスリーグに触れ、「経済的な現実はある。選手がW杯に参加できない事例があれば制裁措置もとらないといけない。だが、すべての救済策は難しい」と頭を悩ませる。

前回大会で3勝を挙げ、今回1次リーグを突破した日本の成長の軌跡は、他のティア2チームの道標となるだろう。20日の南アフリカとの準々決勝は、伝統国が支配してきたラグビー界に、希望の灯をともす戦いでもある。(摂待卓)

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