韓国の訪日客58%減 9月、香港も停滞で地域経済に影

2019/10/16 19:15
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福岡市の博多港と韓国・釜山港を結ぶ高速船「ビートル」は利用者が急減した

福岡市の博多港と韓国・釜山港を結ぶ高速船「ビートル」は利用者が急減した

日韓関係の悪化や香港の大規模デモの長期化が日本との経済活動に影を落としている。韓国からの訪日外国人客は9月に前年比で半減し、混乱が続く香港向けには農産品の輸出が落ち込んでいる。日本企業にとって有力な市場である両地域を巡る問題が長引けば、経営への悪影響が広がりかねない。

日本政府観光局(JNTO)が16日発表した9月の訪日客数は、韓国が前年同月比58.1%減の20万1200人だった。昨年9月は北海道地震や台風による関西空港の閉鎖で減っていたが、その水準も大きく下回る。日本政府が輸出管理を厳格化してから減少が目立ち、8月から2カ月続けてほぼ半減した。全体では災害があった昨年を5.2%上回る227万2900人だった。

韓国客の低迷は足元でも続いている。JTBでは訪日客向けの専用サイトを通じた9月の韓国人訪日客の取り扱いが前年同月比8割減だった。10~11月の予約も同様に8割減っているという。政府が掲げる20年に訪日客数4千万人の目標には逆風だ。

韓国からの訪日客は18年に全体の24%を占め、27%の中国に続く2位だった。韓国客が多かった地域では困惑が広がる。

福岡市の博多港と韓国・釜山港を結ぶ高速船「ビートル」は、日韓対立が深まった7月の利用者は前年同月比2割減だったが、9月には同7割減まで急減した。運航するJR九州高速船によると「回復の兆しは全く見えない」。近鉄百貨店では3~8月の韓国人観光客向けの免税売上高が前年同期比25%程度落ち込んだ。

韓国への食品輸出も振るわない。農林水産省によると、韓国向けの農林水産物・食品の8月の輸出額は前年同月比36.9%減と大きく落ち込んだ。貿易統計で見た8月の韓国向けビール輸出は92%減。サッポロビールは九州の工場からの輸出が落ち込み、韓国の合弁会社経由の販売量も減っている。

日本の農林水産物・食品の輸出先として最大の市場である香港についても混乱の影響が出てきている。9月の香港客は前年の大幅減の反動もあって23.6%増の15万5900人だった。3カ月ぶりのプラスだが、1~8月平均の約19万人に比べると見劣りする。

農水産品の輸出額は8月には前年同月比13.9%減った。真珠などの輸出が落ち込んでいる。2018年は前年比12.7%増で、輸出のけん引役だった。

果物も不調だ。1~8月の香港向け輸出額はイチゴが10.8億円と前年同期比27%減った。ブドウは同13%減の7.2億円だった。輸出向け果実の仕入れを手掛ける東京・大田の仲卸業者は「デモが本格化した6月以降、香港向けの引き合いは極端に減り、10月にはなくなった」と話す。

政府は19年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円にする目標を掲げるが、1~8月累計で前年同期比2.4%増の5888億円にとどまる。達成は極めて難しい状況だ。

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