ウォーレン氏が標的に 米大統領選の民主党討論会
バイデン氏は挽回に躍起

2019/10/16 19:01
保存
共有
印刷
その他

15日、討論会に出席したウォーレン上院議員(右)とバイデン前米副大統領=ロイター

15日、討論会に出席したウォーレン上院議員(右)とバイデン前米副大統領=ロイター

【コロンバス(米オハイオ州)=永沢毅】2020年米大統領選に向けた15日の野党・民主党のテレビ討論会は、世論調査で支持率が一時首位となったウォーレン上院議員が集中砲火を浴びた。ウォーレン氏が唱える国民皆保険などリベラル色の濃い政策の実現性を他候補が疑問視した。挽回をめざすバイデン前副大統領にはトランプ大統領の弾劾調査に絡む疑惑が影を落としており、混戦ぶりが一段と深まった。

民主で立候補を表明した20人超のうち、15日の討論会には12人が参加した。ウォーレン氏批判の口火を切ったのは、世論調査で支持率4位のインディアナ州サウスベンド市長、ブティジェッジ氏だ。「数兆ドルかかる計画の財源をどう賄うか説明がない」。民間保険を廃し、公的保険への全面移行を訴えるウォーレン氏の医療保険制度改革をやり玉にあげた。

ウォーレン氏は大企業への減税廃止や富裕層への新たな課税によって財源を確保すると説明した。同じ国民皆保険を唱えるサンダース上院議員は中間層に増税となるのを認めたが、ウォーレン氏は「私は中間層のコスト減につながらない法律に署名するつもりはない」と財源論でこれ以上踏み込むのを避けた。

ウォーレン氏が格差是正の一環で唱えるフェイスブックなどハイテク大手の解体にも批判の矛先が向けられた。ネット企業経営の経験があるオルーク前下院議員は「どの企業を分割するか決めるのは米大統領の仕事とは思わない」と主張。ウォーレン氏は「私はテック大手やウォール街から金を受け取らない」と逆に切り返し、大企業から大口献金を受けている他の候補を当てこすった。

ブティジェッジ氏はハーバード大卒の退役軍人で、同性愛者を公言する。オルーク氏も草の根で多くのネット献金を集めた民主の若手注目株だ。両氏の政策はいずれも穏健派で、左派のウォーレン氏との違いを強調して浮上の機会をうかがう。

ウォーレン氏への攻撃が強まったのは、世論調査で大きく支持を伸ばしたからだ。動脈閉塞による健康不安でサンダース氏が選挙戦をいったん休止するなか、米政治専門サイトのリアル・クリア・ポリティクスによる各種世論調査の平均では、8日時点でウォーレン氏は26.6%とバイデン氏を僅差で上回った。その後バイデン氏が再逆転し、デッドヒートが続く。

一方、前回の討論会まで標的にされていたバイデン氏は30年以上にわたる上院議員や8年の副大統領としての経験を誇示した。「私はこのステージ上で大きなことをなし遂げた唯一の人間だ。問題は、良いアイデアを実現する能力が誰にあるのかだ」。上院議員としての経歴が6年超にすぎないウォーレン氏との差別化を図ろうとした。

民主が9月下旬に着手したトランプ氏の弾劾調査を巡り、バイデン氏の息子ハンター氏の疑惑が注目を集めている。「私の息子も私も間違ったことをしていない」とバイデン氏は討論会で釈明した。ハンター氏は批判の対象となってきた中国の投資会社の幹部から退く意向を13日に表明したが、民主支持層には「対応が後手に回っている」との声がくすぶる。

もっともウォーレン氏も好調を持続できる保証はない。同氏は討論会で「米国は中東から出て行くべきだ」と訴えた。全面撤収ともとれる発言に、ウォーレン氏の陣営幹部は討論会の後に「(撤収するのは)戦闘部隊で、非戦闘部隊ではない」との声明を出して火消しに走り、外交政策で危うさを残した。

討論会の米メディアの評価は割れ、CNNは「全ての攻撃をうまくかわせたわけではない」とウォーレン氏を敗者の一人にあげた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]