台風19号、避難所の「誤算」相次ぐ 浸水・満員・寒さ

台風19号
2019/10/16 22:40
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宮城県丸森町の避難所には台風被害から4日後も70人以上が避難している(16日)

宮城県丸森町の避難所には台風被害から4日後も70人以上が避難している(16日)

台風19号は東日本を縦断して各地に甚大な被害をもたらした。内閣府によると16日時点で4千人以上が避難所での生活を余儀なくされている。自治体は台風が接近した12日以降、住民に早期避難を呼びかけたが、避難所周辺の浸水や土砂崩れの恐れから別の建物への再避難を迫られたケースも。満員で入れなかったり寒すぎたりといった「誤算」も明らかになった。

町中心部が深刻な浸水被害に見舞われた宮城県丸森町は、町役場の隣にある「丸森まちづくりセンター」(2階建て)を避難所に指定したが、台風が接近した12日夜、屋上の排水が追いつかずたまった水があふれだした。屋根が崩落する恐れがあり周辺で浸水も始まったため、午後9時ごろに隣の町役場(4階建て)に避難者約70人をマイクロバスで移送した。

同センターの周辺はハザードマップで浸水の危険性を示すピンク色で塗られている。町の担当者は「平地で土砂災害の危険性の少ない建物が見つからなかった。ボートでしか移動できないような浸水被害は想定外で、避難所の場所は今後考え直す必要があるかもしれない」と話す。

福島県郡山市も想定を上回る被害で避難所を変更した。12日午後1時から避難所にした高倉小学校を5時間ほどで閉鎖。同小に避難した住民は雨の中、新たな避難先となった徒歩3分ほどの公民館に歩いて移動した。

同小は高台にあり駐車場や収容スペースも広いが、敷地の一部が土砂災害の警戒区域内だった。市の担当者は「大雨だけなら避難所として最適だったが、土砂災害のリスクが急浮上した。豪雨の際は起こりうる事態なので今後の備えに生かしたい」と話した。

長野市の避難所で、寒さに耐えながら横になる人たち(13日夜)=共同

長野市の避難所で、寒さに耐えながら横になる人たち(13日夜)=共同

長野市が避難所にした「北部スポーツ・レクリエーションパーク」は朝晩の冷え込みが想定外だった。千曲川の堤防が決壊した13日は約580人が避難したが、夜になって「寒すぎる」との声が相次いだ。同施設が避難所として稼働したのは今回が初めて。暖房器具もなく、市はあわててストーブを数台設置した。

長野市ではこの時期、朝晩に最低気温が10度を下回ることもある。同施設は高台に位置し、被災者が過ごす屋内運動場は天井の高さが建物2階分ほどある。大きな窓にカーテンはなく、下は人工芝のグラウンドで冷え込みはより厳しくなる。

市は14日、寒さに耐えきれない避難者に対して暖房設備が整った別の避難所への移動を呼びかけた。避難所の運営担当者は「経験がなく準備が不十分だった。最近まで暖かく、寒さは盲点だった」と話した。

避難者が想定以上に多く、満員になった避難所もあった。東京都狛江市は12日午前8時ごろ、中央公民館を自主避難所として開設した。雨風が本格化する前から住民らが続々と集まり、昼すぎに満杯になった。新たな避難者を収容できず、急きょ隣の議会棟や市役所ロビーも追加で開放した。

市では12日夕に避難勧告が発令され、最終的に市内の中学校など計12カ所の避難所に約3900人が身を寄せた。担当者は「昭和時代に多摩川が決壊した記憶が残っている住民も多く、自主避難の段階から大勢の人が集まった。余裕を持って避難者を受け入れられるよう今後の検討課題にしたい」と話している。

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