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巨大ITの新規参入者排除、公取委員長「看過できない」

競争政策シンポ 消費者保護を議論

公正取引委員会、電子情報技術産業協会(JEITA)、日本経済新聞社などは16日、国際シンポジウム「プラットフォームビジネスと競争政策」を開いた。デジタル経済の進展で大手IT(情報技術)企業が影響力を高めるなかで、消費者が不利益を受けない競争政策の在り方を議論した。

「プラットフォーマーが支配的な地位を乱用して新規参入者を排除すれば競争政策上、看過できない」。公取委の杉本和行委員長は冒頭のあいさつでこう語った。一方で「イノベーションによって起きる寡占や独占は問題にすべきではない」との見解も示した。

パネル討論は日米欧の競争政策当局者らが参加した。「GAFA」と呼ばれる米IT企業を中心とするプラットフォーマーを巡っては、その強い立場を使って消費者の情報を不当に吸い上げる懸念が広がっている。クリス・デカイザー・欧州委員会競争総局政策・戦略局長は「消費者はサービスの質の一部として個人情報保護のあり方を注視している」と指摘した。そのうえで「懸念があれば競争政策で問題になる」と述べた。

ITの巨大企業が新興企業の買収でデータを囲い込む行為を競争政策でどう判断するかも議論になった。ダニエル・フランシス・米国連邦取引委員会競争局局長補は「将来のライバルの買収は競争への脅威になりうる」と懸念を示した。「すべてが独占につながるとはいえない。デジタル市場の未来を見通すのは難しく、頭を悩ませている」とも語り、一律の規制に消極的な姿勢を見せた。

公取委は10月4日、独禁法に基づいて企業の買収を審査する際、データの価値を考慮する審査指針の改定案をまとめた。従来は売上高で審査対象を決めていたが、買収額が400億円超であれば事前の申告を求める方針を打ち出した。

民間から参加したディック・リンケマ氏(マイクロソフトアジア競争法・政策担当部長)は規制のあり方について「まずビジネスモデルを理解してほしい」と語った。収集・分析した付加価値のあるデータこそが競争力の源泉になると訴えた。

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