米副大統領、トルコ訪問へ シリア停戦展望なく

2019/10/16 17:17
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【ワシントン=中村亮】ペンス米副大統領は16日、シリア侵攻の即時停止を促すためトルコに向けて出発する。経済制裁で圧力を強め、トルコに戦闘激化を思いとどまらせる戦略だ。だがトルコが軍事攻撃の理由にあげるクルド人勢力の脅威を取り除く代替案を米国が示せる可能性は低い。トランプ大統領は戦闘に反対しない立場もちらつかせるなど危機感が乏しく、停戦の展望は描けていない。

ペンス氏は17日、トルコのエルドアン大統領と会談する。トルコ製鉄鋼の関税を倍増させるなどの制裁をトルコが侵攻をやめるまで続ける方針を伝え、軍事作戦の停止を促す。トランプ氏に近いリンゼー・グラム上院議員は17日、金融やエネルギー部門への追加制裁を視野に入れたトルコ制裁法案を議会に提出する。

米連邦検察は15日、米国の対イラン制裁を回避する枠組みに関与したとしてトルコ国営ハルク銀行を起訴した。起訴とシリア侵攻を結びつけてはいないが、結果的にトルコに対する圧力になる。

トルコが停戦要請に応じるかは見通せない。トルコはクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」をテロ組織とみなしており、SDFの脅威をシリア国境付近から排除する目的で侵攻した。米国はSDFに対する共同監視活動を通じてトルコの懸念を払拭しようとしたが、トルコは不十分だとしている。

トランプ氏がシリア情勢の緊迫をさほど懸念していないこともトルコを勢いづける。トランプ氏は14日、シリアのアサド政権によるSDF支援を容認し「自国のためにトルコと戦えばいい」と強調した。「私は米南部の国境(警備の)問題に注力したい」と訴え、シリアでの戦闘に関与しない姿勢を改めて示した。

ロシアは米軍撤収後の力の空白を埋めて影響力を増す狙いだ。ロシア国防省は15日、トルコ軍とSDFやアサド政権の衝突を防ぐため、ロシア軍がシリア北部の要衝マンビジュで警戒活動を実施したと発表した。ロシア大統領府によると、プーチン大統領は15日にエルドアン氏と電話協議し、衝突を避けるべきだとの考えで一致した。

米政権がシリア侵攻中止を訴えても、米軍撤収でトルコに対する交渉力は下がる。停戦協議はロシア主導で進む可能性があり、シリアを含む中東問題で米国の影響力が薄まるのは確実だ。

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