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リノベ済みマンション、拭えぬ不安 自ら改修も選択肢

不動産コンサルタント 田中歩

写真はイメージ=PIXTA

「リフォーム済み」「リノベーション済み」として販売される中古マンションがここ数年、増えてきました。新築マンションの高騰もあり、割安感のある中古に需要が流れているほか、他人の生活感が残った中古よりも新築のように生まれ変わったマンションのほうが受け入れやすい面もあるでしょう。中古を買ってからリフォーム会社を探し、自分好みに加工するのは面倒と感じる人も多いのかもしれません。しかし、筆者は「中古を買ってから、自分でリフォーム・リノベする」選択肢も検討する価値があると思います。

築30年以上でも給水管を交換せず

リノベ済みマンションは、売り主である不動産会社が中古マンションを購入後、内装工事をしたうえで販売するものです。工事前・工事後の写真などを残し、どの部分をどのように交換し、工事したのかを明確にしていれば問題はありません。しかし、それがはっきりしない場合、何が隠れているかわからない面があります。

例えば、築30年以上経過しているにもかかわらず、給排水管を一切交換していないこともあります。また、給排水管は交換済みとなっていても、共用部から専有部に引き込まれた古い配管を専有部内で50センチほど残し、そこに新しい配管を接続している場合、その古い配管部分や接続部分から漏水する可能性もあるのです。

また、結露がひどくカビが発生していた部屋でも、カビの除去をせず、そのまま壁紙を貼っていることもあります。

内装済み、1平方メートルあたり9万2861円高く

筆者は、過去1年に東京23区内で売買された中古マンションの取引データ9562件を国土交通省の不動産取引価格情報検索サイトから入手し、内装済みマンションとそうでないマンションでどの程度の価格差があるか調べてみました。

立地や規模などによって価格に違いが生じるので、駅からの距離、築年数、面積、所在区による品質の調整をしたうえで、内装済みとそうでない物件の価格差を調査したところ、内装済みマンションは未実施のそれに比べて1平方メートルあたり9万2861円高い結果が出ました。つまり、70平方メートルのマンションであれば約650万円の差が出ることになります。

一方、一般的な買い取り業者がリフォームなどにかける費用はこれよりも低く、算出された単価の半分から7割程度で実施していることがほとんどです。もちろん、買い取り業者はリフォーム工事を工務店などに多く発注しているため、一般のユーザーより割安になっている面はあります。

 しかし、中古マンションの仕入れの際に競争にさらされながら買わざるを得ない状況を鑑みると、内装コストを圧縮することが利益に直結しやすい面も否めないでしょう。

可変性の高い物件、ポイントは「階高」

以上から、中古マンションを買ってから自分の好みに合うようにリフォームやリノベをするのも一つの手ではあると思います。とはいえ、自分でリフォームを発注するのならば、まずは「可変性」の高い、自由度の高い中古マンションを選ぶことが大切です。ポイントはいくつかありますが、一つだけに絞るととすれば「階高」だと筆者は考えています。

階高とは、スラブ(フローリングの下にあるコンクリート床)の面から、上の階のスラブ面までの高さです。天井高という言葉はよく聞かれると思いますが、これは、室内におけるフローリング面から天井面までの内側の高さを言います。

階高が高いと、二重天井、二重床の幅を取りやすくなります。二重天井ならば照明の配線が、二重床であれば水回りの配置の自由度が高まります。

しかし、二重にすると天井高が低くなります。一般に、二重天井は約8センチ、二重床は約12センチとなりますので、これだけで約20センチも天井高に影響を及ぼします。

最近のマンションだと、コンクリート床の厚みは約20センチありますので、天井高を250センチ以上にしたい場合、階高は20センチ+20センチ+250センチで最低290センチ必要になります。

階高が290センチ以上のマンションとなると、2000年以前ものだと数は少ないと思いますので、天井高にこだわるかこだわらないかを決めたり、リビングを直(じか)天井にして高さを保ったりするなどの工夫をする人が多いようです。

一括サポートの仲介会社も

自分でリノベする際の問題は(1)リノベしやすいマンションをどう選ぶか(2)自分にあったリフォーム会社をどう選ぶか(3)住宅ローンをどう調達するか――の3つの課題をどう乗り越えるかです。

最近ではこれらを一括してサポートしてくれる仲介会社も増えています。自分の好みに合った内装を施したい人を専門にサポートする不動産会社もあるので相談してみましょう。

田中歩
 1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。

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