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日本競馬「1強化」の逆説 遠のく凱旋門賞制覇

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2019/10/19 3:00
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20年で「悲願」は「夢」に逆戻りするのか? 10月6日、パリロンシャン競馬場で行われた仏G1、第98回凱旋門賞(芝2400メートル)。3頭が出走した日本勢は、キセキ(牡5)の7着が最高で、ブラストワンピース、フィエールマン(ともに牡4)は12頭中11、12着という惨敗に終わった。

凱旋門賞に3頭が出走した日本勢はキセキの7着が最高だった=共同

凱旋門賞に3頭が出走した日本勢はキセキの7着が最高だった=共同

史上初の3連覇に挑み、今回の最大の注目を集めたエネイブル(牝5、英)は、ゴール寸前で地元のヴァルトガイスト(牡5)にかわされて2着。週半ばからの雨で悪化した馬場と予想外の速い流れが各馬の明暗を分けたが、そもそもゲームに参加さえできなかった日本勢の姿は、凱旋門賞制覇が悲願といえるレベルなのか、疑問を抱かせる。

レースを先導したのは、前回のドイツG1、バーデンバーデン大賞(芝2400メートル)を大差で逃げ切ったガイヤース(牡4)。続いたのは前進気勢を抑えられない雰囲気のフィエールマン。2列目にはマジカル(牝4)とエネイブルという前年上位馬が並び、マークする形で今年の仏ダービー馬ソットサス(牡3)とブラストワンピース。ヴァルトガイストはさらに後ろ。出遅れたキセキは同馬の内を、アイルランドの名門、エイダン・オブライエン厩舎のジャパン(牡3)は後方を追走した。

驚いたのは前半のペースで、現地の映像が映した1400メートルの通過は1分27秒79。前年より1秒54速かった。当日の馬場はペネトロメーター(硬度計)の数値が4.1で、日本なら「不良に近い重」。当然、勝負どころで先行勢が次々に失速する。ガイヤースとフィエールマンが失速し、道悪巧者のはずのマジカルも脚が鈍った。

満を持したようにエネイブルが抜け出し、残り200メートル付近で後続に2馬身差。「3連覇成ったか」と思わせたが、ここから失速する。道悪が不安視され、日本でも現地でも人気薄だったヴァルトガイストが一気にかわして最後は1馬身3/4差を付けた。エネイブルを一瞬、脅かしたソットサスが3着で、追い込んだジャパンが4着。同馬と5着マジカルの間は6馬身あり、最後は4頭の競馬だった。

3連覇を目指したエネイブル(右)を差し切り、凱旋門賞で優勝したヴァルトガイスト=共同

3連覇を目指したエネイブル(右)を差し切り、凱旋門賞で優勝したヴァルトガイスト=共同

国を問わず、競馬では同じ力学が働く。先に脚を使った方が苦しくなるのだ。人気を背負うのを嫌う陣営が多いのは、「他馬の目標にされるから」。今回のエネイブルもこのわなにはまった形だ。

12頭中4番手から、絶妙のタイミングで抜け出したように見えて、結果的に速いペースでの早仕掛けという形になった。最後の1000メートルは64秒18。前年が59秒91だから、文字通り究極の消耗戦だった。凱旋門賞6勝の名手、ランフランコ・デットーリ(48)の早仕掛けを結果論的に責めるのは酷だろう。

勝ったヴァルトガイストは現地の場外発売公社(PMU)の単勝オッズが13倍で5番人気だった。国内発売は34.4倍で9番人気だが、昨年4着の実績馬で、今年もG1を3戦して1、3、3着の後、前哨戦のフォワ賞(G2)を快勝。評価を下げる材料はないのに、馬場適性を疑問視された。

昨年の香港ヴァーズ5着時に、リスグラシュー(後に宝塚記念優勝)から大きく離されたのも、日本の購入者には印象が悪かった。ただ、血統の字面を見れば父がガリレオで母の父がモンズーン。日本勢と比べて、道悪や消耗戦の適性を低く見られる理由はなかった。

新たな臨戦過程も「馬場が悪すぎ」

日本勢のキセキは先行力が持ち味で、前哨戦のフォワ賞では逃げて4頭中3着と失速していた。今回は出遅れたが、騎乗したクリストフ・スミヨン(38)自身、先行する気はなかったとも見て取れる。判断自体は間違っていなかったが、ゲームに加わることはできなかった。

ブラストワンピースも3着ソットサスの付近を進んでおり、道中の位置取りは悪くなかった。伸びなかったのは力負けだろう。フィエールマンはレース前からテンションが高く、スタート後は前に行きたがる面を見せて先行策。早々に失速し、最後はブラストワンピースからも15馬身離された最下位だった。

凱旋門賞で最下位の12着だったフィエールマン(左)=共同

凱旋門賞で最下位の12着だったフィエールマン(左)=共同

勝ち馬との着差は、キセキが21馬身半、ブラストワンピースが33馬身、フィエールマンは48馬身だった。可能性がなくなった時点で騎手は追うのをやめるため、意味のない数字だが、散々な結果を象徴していることは間違いない。

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