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見えた「大迫抜き」の形 攻め手増やした森保J
サッカージャーナリスト 大住良之

2019/10/17 3:00
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ワールドカップ「カタール2022」を目指す日本代表が順調に勝利を重ね、アジア第2次予選勝ち抜きに大きく前進した。

タジキスタン戦の後半、ヘディングで先制ゴールを決める南野=共同

タジキスタン戦の後半、ヘディングで先制ゴールを決める南野=共同

ホームの埼玉スタジアムでモンゴルを6-0で下した5日後の10月15日、日本代表はアウェーのドゥシャンベでタジキスタンと対戦し、後半にFW南野拓実の2ゴールとFW浅野拓磨の1点で3-0の勝利。ここまで2連勝だったタジキスタンと、この日アウェーでモンゴルを2-1で下したキルギス(ともに2勝1敗で勝ち点6)を抑えて首位を確保した。

全10節のアジア第2次予選は、11月14日に行われる第5節、キルギス―日本、ミャンマー―タジキスタンで半分の5節を終え、全5チームが4試合消化という形になる。日本がキルギスに勝てば、最終予選進出のめどが立つ。「後半戦」では、4試合中、モンゴル戦を除く3試合がホームゲームとなるからだ。

この「10月シリーズ」を前に1トップとして不可欠な存在であるエースの大迫勇也が所属のブレーメンのトレーニングで故障、欠場を余儀なくされた。森保一監督はFWに永井謙佑、鎌田大地、そして浅野の3人を選出。「スピードタイプ」の永井と浅野、テクニシャンの鎌田の誰が大迫の穴を埋めるのか、注目された。

モンゴル戦では永井が先発、40分には右MF伊東純也のクロスを頭でたたき込んで1点を決めた。そしてタジキスタン戦では鎌田を先発で送り出した。鎌田はモンゴル戦でも後半に交代出場して約30分間プレー、1点を決めている。

タジキスタン戦は、2万人を超す熱狂的な地元ファン、そして慣れない人工芝、さらには日本をよく研究したタジキスタンの守備ブロックに苦しみ、前半は0-0。

リスタートで何回か絶好機を迎えたが、相手の守備を崩しきることができず、逆に決断力に富んだタジキスタンに守備ラインを突破されてあわや失点という場面もあった。だがこの24分の大ピンチをGK権田修一が見事なセーブで防いだことが、この試合の大きな岐路となった。

前半、相手のシュートを好セーブするGK権田(12)=共同

前半、相手のシュートを好セーブするGK権田(12)=共同

前半の日本は、相手の前線のプレスがきつかったこともあり、1トップの鎌田へのロングパスが多かった。鎌田は身長180センチだが、ヘディングはけっして得意ではない。ロングボールをことごとくはね返され、日本はなかなか相手陣のペナルティーエリア前、「バイタルエリア」と呼ばれる地域に入っていけなかった。

だが後半、日本の攻撃に変化が生まれる。バイタルエリアへのパスが増え、そこが起点になってペナルティーエリアに侵入、シュートまでもっていく形が増えたのだ。

53分に自陣のMF柴崎岳から相手陣内の鎌田に縦パスが出て鎌田が前を向き、少し運んで左のMF中島翔哉へ。そのクロスを南野がヘディングで決めて先制。わずか3分後には、右サイドで柴崎のスルーパスを追ったDF酒井宏樹の低いクロスに南野が合わせてあっという間に2点差をつけた。

前半から速いテンポでパスを回した日本に、タジキスタンの選手が消耗し、相手のDFとDFの間にポジションを取る日本選手を捕まえきれなくなったこともある。しかしそれ以上に効いたのは、鎌田と南野のポジションを入れ替えたことだった。

前半は鎌田が1トップで、南野はトップ下。森保監督からの指示ではなく、後半、2人の判断でそれを入れ替えたのだ。鎌田は相手選手との間のポジションどりがうまく、足元に受けてはターンしてドリブルするセンスに優れている。このポジション変更により、日本はバイタルエリアでボールをもつことができるようになり、その結果、サイドも有効に使えるようになった。

前半1トップだった鎌田(右)は後半に入ると南野とポジションを入れ替わりトップ下へ=共同

前半1トップだった鎌田(右)は後半に入ると南野とポジションを入れ替わりトップ下へ=共同

82分には、バイタルエリアで南野からMF堂安律にパスが渡り、さらに右のスペースに上がってきた酒井へ。そのクロスに左から走り込んだ交代出場の浅野が合わせて3-0と勝利を決定づけた。

今年1月のアジアカップでは、グループリーグの第2戦から準々決勝の後半まで大迫が欠場。日本は大苦戦を余儀なくされた。「三銃士」と呼ばれる現在の日本の第2列、右から堂安、南野、中島の3人は、森保ジャパンの攻撃力を象徴するトリオだが、抜群のポストプレーでこの3人の力を引き出しているのが大迫であるのは間違いない。

だが永井も鎌田も浅野も、そして9月のシリーズ(対パラグアイ、ミャンマー)で招集された鈴木武蔵も、大迫の「代役」にはなれなかった。永井を1トップに起用したモンゴル戦もいいクロスが入っても中央で決めきれないことで難しい時間帯をつくってしまったし、鎌田を使ったタジキスタン戦の前半は、日本らしい攻撃がほとんど出なかった。

0-0で迎えたタジキスタン戦の後半、日本代表はついに「大迫抜き」の新しい形を見いだしたようにみえた。

10月10日にミャンマーに7-0、15日にモンゴルに2-1と連勝したキルギスとのビシュケクでのアウェーゲームは、氷点下になる恐れもあり、再び難しい試合になるだろう。この試合には、大迫も戻ってくるはずだ。10月の2試合で「攻め手」を増やした日本代表がどんな攻撃を見せるのか、大いに期待したい。

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