「趣味が本業に」歴史解明 元数学者の新潟大名誉教授

2019/10/16 10:11
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新潟大名誉教授の冨沢信明さん(77)は数学を生かし、歴史を解き明かす異色の研究家だ。「趣味で始めた研究が今では本業になりつつある。面白い発見を世の中に届け続けたい」と語る。

壁に掛けられた上杉謙信の手紙と、新潟大名誉教授の冨沢さん(15日、新潟県新発田市)=共同

壁に掛けられた上杉謙信の手紙と、新潟大名誉教授の冨沢さん(15日、新潟県新発田市)=共同

仙台市に生まれ、東京の大学に進学。大学院に進んだ後も数学を専攻し、鉄道網や電気回路を効率的に設計する研究に励んだ。新幹線のダイヤを組むプログラムの開発にも携わり、修了後は別の大学で助手を務めた。「当時は数学一筋で生きていくつもりだった」と振り返る。

41歳で新潟大教授として新潟県に赴任。たまたま立ち寄った骨董品店で、江戸時代の僧、良寛に関する手紙を見つけたのがきっかけで、歴史研究にいそしむように。良寛が書いた詩に登場する台風の襲来時期を調べ、西国での修行から故郷の越後に戻った時期を突き止めた。

「証拠を積み重ねて仮説を立証する過程は数学と全く同じ。歴史でも発見があるのが面白い」。歴史研究に専念するため、定年前の2005年に退官。良寛の帰郷時期について成果をまとめ上げ、愛好家から反響を呼んだ。以来、戦国武将上杉謙信をはじめ地元ゆかりの人物の研究に力を注いでいる。

今年8月には、「本物だと思って買った」という手紙が謙信の直筆だったことが判明。手紙の確認を依頼され、花押や筆跡から判断した同県上越市の公文書センターで学芸員を務める福原圭一さん(51)は「貴重な史料だ」と請け合った。

冨沢さんは「畑違いだからこそ、他の歴史家とは違う考え方でさらに研究を深めたい」と力を込めた。〔共同〕

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