海外・増税影響を警戒 地方景気、足元は内需堅調

2019/10/15 22:00
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支店長会議に臨む日銀の黒田総裁(中)=15日、日銀本店

支店長会議に臨む日銀の黒田総裁(中)=15日、日銀本店

日銀は15日、地域経済報告(さくらリポート)を発表した。堅調な設備投資などを支えに全国9地域の景気について「拡大」や「回復」とした。ただ、国際通貨基金(IMF)は世界経済の成長率見通しを下方修正し、輸出低迷に身構える企業は多い。消費増税後の消費の冷え込みや台風19号の被害も懸念材料だ。地方経済の先行きに対する警戒が強まっている。

日銀は四半期ごとの支店長会議で景気動向を議論し、さくらリポートで地域別の景気判断を示している。今回は全国9地域のうち北海道の判断を「緩やかに回復」から「緩やかに拡大」に改め、半年ぶりに上方修正した。昨年9月の地震からの復興作業に伴い公共投資の判断を引き上げたのを反映した。他の8地域は総括判断を据え置いた。

全9地域で景気が拡大・回復と判断した背景には「企業と家計の両部門で国内需要の増加基調が続いている」(日銀)ことがある。項目別でみても内需の柱である個人消費や設備投資の基調判断は全地域が据え置いた。

内需の堅調さは日銀の各支店が聞き取った企業の声からもうかがえる。設備投資では「次世代通信規格『5G』対応などの需要増を見込み、年度内にも能力増強投資を実施する」(長崎の電子部品・デバイス業)との指摘があった。消費も「(増税前の)駆け込みもみられ、販売が伸びた」(福岡の家電販売業)。

一方、米中貿易戦争が長引き、世界の貿易量が縮小していることは輸出や生産の停滞という形で地方景気に影を落としている。生産の基調判断は中国地方が「足元弱めの動き」に下方修正し、関東甲信越や近畿なども「弱め」との評価が続く。

米中両国は閣僚級協議で貿易交渉の「部分合意」に至ったが、不透明感も残る。「米中貿易摩擦が長期化し、さらなる落ち込みを懸念している」(広島の自動車関連業)といった企業の警戒心は根強い。

粘り腰をみせる内需についても「収益環境が悪化しているため、老朽化対応など不急の設備投資を先送りする」(岡山の鉄鋼業)といった慎重な声が出始めている。個人消費も「増税後はマインドの落ち込みによる悪影響が確実にある」(松江のスーパー)との見方が出ている。

東日本を中心に工場設備にも浸水被害が出た台風19号については「サプライチェーン(供給網)への影響は考えうる」(日銀の山田泰弘理事・大阪支店長)と景気の下押し要因となる可能性がある。日銀は今月末の金融政策決定会合で経済・物価動向を再点検すると表明しているが、内需主導の緩やかな景気の拡大基調をどこまで維持できるのか難しい判断を迫られそうだ。

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