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世界成長率3.0%に減速 IMF、貿易戦争で予測下げ

【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は15日改定した世界経済見通し(WEO)で2019年の成長率を3.0%と予測し、7月時点から0.2ポイント下方修正した。米中の貿易戦争を受けて世界的に貿易や投資が減速しており、金融危機直後だった09年以来、10年ぶりの低い伸び率となる。中国は20年の成長率が30年ぶりに6%台を割り込むと予測した。

IMFは四半期ごとにWEOを改定している。下方修正は5期連続だ。世界経済は3%成長が好不況の境目とされる。IMFは「世界全体の90%の国・地域で経済が減速している」と指摘した。20年の実質経済成長率は3.4%に持ち直すと見込んだが、7月時点の予測と比べ0.1ポイント引き下げた。

世界景気が急減速する最大の要因は米中の貿易戦争で、19年の世界の貿易量の伸びは前年比で1.1%にとどまりそうだ。18年(3.6%増)から急ブレーキがかかる。米国は中国製品の制裁関税を積み増す可能性があり、IMFは「経済見通しのリスクは下方に傾いている」と警告した。

中国の成長率見通しは、19年が6.1%、20年は5.8%にいずれも下方修正した。18年の6.6%から減速し、天安門事件の直後だった1990年(3.9%)以来の低さにとどまる。金融緩和や財政刺激策で景気の失速を回避すると見込むものの、IMFは「企業と家計の債務は急増している」と金融面での不均衡にも警鐘をならした。

貿易戦争を仕掛けた米国も、19年の成長率見通しは2.4%と7月時点から0.2ポイント下方修正した。企業投資などが弱含み、18年の2.9%成長から減速しそうだ。20年の成長率見通しは、米連邦準備理事会(FRB)の利下げや連邦政府の歳出拡大で0.2ポイント上方修正したものの、潜在成長率並みの2.1%にとどまりそうだ。

日本は19年が0.9%、20年は0.5%と予測をほとんど修正しなかった。19年中は消費税増税の影響を需要喚起策でカバーするが、20年は家計支出が鈍化すると予測した。成長率の停滞は中期的に続きそうで、24年時点の伸び率も0.5%にとどまると見込んだ。

ユーロ圏も輸出依存度の高いドイツは19年の成長率が0.5%、20年も1.2%にとどまる見通しだ。英国も1%台前半の低い成長率を予測するが、欧州連合(EU)離脱の動き次第では下振れが避けられない。

新興国も軒並み下方修正となり、インドの19年の成長率見通しは0.9ポイントも引き下げられた。自動車販売などの個人消費に急ブレーキがかかり、大手ノンバンクが経営破綻するなど、金融面でも資金供給が収縮している。メキシコも緊縮財政の影響で景気後退の瀬戸際にあり、各国・地域とも政策のミスマッチが目立つ。

日米欧と中国など20カ国・地域(G20)は17日から2日間の日程で財務相・中央銀行総裁会議を開く。「世界同時減速」から抜け出すための政策協調を求められるが、米国は中国だけでなく欧州連合(EU)とも航空機の補助金を巡って関税合戦の瀬戸際にある。政治リスクの解消すらできないG20に国際的な政策協調はのぞめない。

FRBや欧州中央銀行(ECB)は金融緩和に打って出たが、金利政策や量的緩和の拡大余地は極めて小さい。ドイツなど一部の国は財政拡張の可能性があるものの、日本などは国家債務の積み上がりも深刻だ。金融危機後の10年間で政策余地を十分に取り戻せないまま、世界景気は「不況」の瀬戸際に立つ。

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