「どこにいけば」避難長期化も 台風被害の長野市

2019/10/15 17:53 (2019/10/15 20:54更新)
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避難所で過ごす家族(15日、長野市)

避難所で過ごす家族(15日、長野市)

台風19号が襲った被災地では、15日も救助活動や破壊されたインフラの復旧作業が続いた。ただ河川決壊による建物被害は甚大で、自宅に戻れる見通しが立たない人が多く、避難生活は長期化する恐れが強まっている。「どこにいけばいいのか」。朝晩の冷え込みも徐々に厳しくなり、被災者は疲れ切った表情を浮かべた。

国土交通省などによると、台風による堤防決壊は52河川73カ所に及んだ。千曲川の堤防が決壊した長野市では15日、浸水していた地区で徐々に水が引き、多くの人が自宅やオフィスから家具を運び出すとともに必死に泥をかき出していた。

「家に帰りたいが、もう住めないだろう。毛布を何重にも敷いて寝ているが、体は痛い」。決壊した堤防近くに住む千野茂さん(82)は表情をゆがめた。13日未明、隣家から電話で堤防決壊を知らされ、妻と2人で着の身着のまま避難所に駆け込んだ。「娘の家族も避難しており、身を寄せる先がない。どうすればいいのか」と頭を抱える。

「こんなに避難が長引くと思わなかった」と話すパートの宮本裕美さん(43)は、自宅は床下浸水にとどまったものの電気が復旧せず、家族4人で避難所生活を余儀なくされている。避難所にはついたてがなく、人の目が気になってなかなか気持ちが休まらない。「体力的に厳しい。自宅に戻るか、親戚に頼んで泊めてもらうか考えたい」とため息をついた。

 台風19号の大雨で千曲川の堤防(左下)が決壊し、浸水被害を受けた住宅地=15日午後0時1分、長野市穂保(小型無人機から)=共同

台風19号の大雨で千曲川の堤防(左下)が決壊し、浸水被害を受けた住宅地=15日午後0時1分、長野市穂保(小型無人機から)=共同

夫と3人の子どもとともに避難した主婦の石田志乃さん(32)は1年半前に500万円以上をかけてリフォームした自宅を15日朝に初めて見に行った。「ショックの一言。泥だらけで物が散乱していた。においやカビで暮らせなくならないか心配だ」と肩を落とす。

自宅に戻れる見通しが立たない中、重くのしかかるのが朝晩の冷え込みだ。長野市では15日夕方には気温が11度台に低下。石田さんは「友人がストーブを差し入れてくれたがそれでも夜の避難所は驚くほど寒い。早く仮設住宅に入りたい」と願う。

ピーク時に1000人以上いた長野市内の避難者数は、15日午後3時時点で670人になった。ただ市危機管理防災課の担当者は「人数は減少したが、自宅が壊滅的な被害を受けて戻れなくなっている人が多いとみられる」といい、避難の長期化は避けられない情勢だ。同課は「みなしを含めた仮設住宅の供給について早く準備を進めたい」としている。

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