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米ウォール街が身構える「ウォーレン・リスク」

エリザベス・ウォーレン上院議員=ロイター

【ニューヨーク=伴百江】2020年11月の米大統領選を巡り、野党の民主党は15日夜(日本時間16日午前)、候補者による4回目のテレビ討論会を中西部オハイオ州コロンバス近郊で開いた。支持率を伸ばしている左派のエリザベス・ウォーレン上院議員は格差是正を訴え、労働者や低所得者、女性の権利向上などを主張している。大企業や金融業界の収益が圧迫されるとの懸念から、米ウォール街は「ウォーレン・リスク」に身構え始めた。

「ウォーレン大統領になったら株式相場はどう動くのか」。こんな問い合わせが増えたと米ファイナンシャルアドバイザーは話す。10月初旬の世論調査ではウォーレン氏の支持率がこれまで民主党候補に本命視されてきたジョー・バイデン前副大統領を上回った。

「エリザベス・ウォーレン・インディケーター」。米証券ミラー・タバックの株式ストラテジスト、マシュー・マリー氏は米保険大手ユナイテッドヘルス・グループの株価の動きをこう名付けた。主要政策に国民皆保険を掲げるウォーレン氏の支持率が上昇すると、収益圧迫の懸念からユナイテッドヘルスの株価が下落するようになった。

ウォーレン氏の政策には規制強化策がずらりと並ぶ。たとえば銀行と証券を分離する「グラス・スティーガル法」の復活や、巨大ハイテク企業の分割を主張。シェールガスの採掘禁止、アグリビジネスの分割、最低賃金を2倍に引き上げる計画――。幅広い企業の株価に下落圧力がかかる。

トランプ大統領による法人減税の見直しや、富裕層向け課税に踏み切る公算も大きい。著名なヘッジファンド運用者のレオン・クーパーマン氏は「ウォーレン氏の社会主義的政策は米景気と株式相場に有害」と断じる。

ウォーレン氏の勢いは続くのか。ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領の弾劾調査が始まり、同国での息子の事業に関する疑惑に飛び火したバイデン氏の失速という敵失が弾みとなった。中道派の同氏は粘り腰をみせるが、先行きは不透明だ。

左派のもう一人の有力候補、バーニー・サンダース上院議員は「民主社会主義」を掲げる。一方のウォーレン氏が訴えるのは「資本主義」のひずみの是正。「異端」と一線を画すウォーレン氏が支持を広げる構図だ。

もっとも「トランプ氏の『米国第一主義』とウォーレン氏の『経済愛国主義』は似通う」(ドイツ銀行のチーフ国際ストラテジスト、アラン・ラスキン氏)。社会の不満を自身への支持につなげる点で、いずれも大衆迎合主義(ポピュリズム)に傾きやすい。ウォーレン氏に対し「急進的な政策に賛同できない民主党員が多い」(米資産運用会社AGFインベストメンツ)との声もある。

民主党候補の指名を得ても大統領選で勝てるかどうかは別の話だが、ウォーレン氏が健闘するほど市場の警戒ムードが高まる局面が続きそうだ。

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