「家屋浸水、片付け前に写真を」 水害補償の注意点は

金融最前線
2019/10/15 13:31
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台風19号では家屋の浸水被害が広がった(長野市)

台風19号では家屋の浸水被害が広がった(長野市)

台風19号の記録的豪雨の影響による河川の氾濫や土砂災害で多くの地域で家屋損壊などの被害が広がっている。生活再建のために必要になるのが保険金の支払いや金融面での支援だ。「迅速な保険金支払いのためには、片付けの前に写真を撮影したほうがよい」など、あまり知られていない注意点をまとめた。

損害認定に詳しい要件

Q 保険について注意点は。

A 災害の損害を補償する火災保険では、風などの被害に比べ水害は保険金支払いまでの期間が長引きやすい。水害の補償は浸水の大きさなど要件が風災に比べて詳しく定められており、損害保険会社による現地の調査が必要になるケースがほとんどなためだ。

洪水被害にあった被災者が家を片付ける場合に重要なことは「スマートフォンなどで写真を撮影し、あらかじめ浸水の証拠を残しておくこと」(損保大手)。床の上への浸水か、または建物への損害が契約した保険金額の30%以上に達する場合などが水災補償の対象となる。泥がどこまで広がっていたかなど、なるべく多くの写真を撮っておいたほうがよいという。表札、家全体、破損箇所が分かる写真も、あれば損害認定がスムーズになるという。

Q 銀行などの金融支援策は。

A 今回は広範な地域で家屋が浸水したり、家ごと流されたりする甚大な被害が出た。預金の引き出しに必要な通帳や印鑑を紛失してしまった被災者も少なくないとみられる。このため政府・日銀は金融機関に対し、13都県の315市区町村の被災者の金融サービスについて柔軟な対応をとるよう要請した。

今後各地の銀行などは通帳や印鑑をなくしても預金の払い出しに応じるなどの措置をとる。保険会社も保険料の迅速な払い込みに応じる見込みだ。

土砂が流れ込み、家具が散乱した民家(13日、宮城県丸森町)=共同

土砂が流れ込み、家具が散乱した民家(13日、宮城県丸森町)=共同

二重ローンにも支援策

Q 住宅を失った被災者への支援策は。

A 住宅ローンが残っている家屋を失った被災者の経済的な負担は極めて重くなる。こうした人が新たに借金して再建する「二重ローン」の問題は自然災害が起きるたびに課題となってきた。このため負担を軽減するための手続きが東日本大震災後に整備された。

Q 具体的にはどのような支援が受けられるのか。

A 住宅ローンは全国銀行協会などがまとめた「自然災害債務整理ガイドライン」に基づく特別な債務整理の手続きを利用できる。災害救助法で指定された自然災害が対象で今回の台風19号もすでに対象になっている。借入先の銀行に申し出れば無料で弁護士らに相談できる。被災後の生活に必要な資金を手元に残しやすいのが最大の特徴だ。

一般的には自己破産しないと住宅ローンなどの債務は免除されず、自己破産すると保有資産を処分して99万円までしか手元に残せない。このガイドラインを使うと、債務整理をしても最大で500万円を確保でき、義援金も手元に残せる。債務整理したことが個人の信用情報にも残らないので、今後借金をするときやクレジットカードを作るときに影響が少ない。

Q 注意点は。

A すべての被災者が対象になるわけではなく、ローンの残高や収入などを考慮して借入先の銀行と相談して最終的に適用の可否が決まる。今年6月末時点で1074件の債務整理の申し出があり、368件が成立した。あくまで現在借りている住宅ローンが対象で、これから借りる住宅ローンは減額されない。

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