ハンドルない自動運転バスに乗れる CEATECで公道走行

15日から幕張メッセ(千葉市)で開催される国内最大級の家電・IT(情報技術)見本市「CEATEC(シーテック)2019」の会場で、ハンドルのない自動運転バスが公道を走行する実証実験が実施される。試乗は整理券制で、走行スケジュールは1日当たり6回を予定。整理券は各日3回に分けて、CEATEC会場内、幕張メッセ2ホールにあるスマートモビリティイノベーションブースで配布する。
幕張メッセ9-11ホール1階にある南広場ロータリーを発着所とし、幕張メッセから海浜幕張駅を通る約1.5キロメートルのコースを、時速約18キロで走行し、約15分で周回する。
自動運転車両や走行に関する技術の提供は、ソフトバンク子会社のSBドライブ(東京・港)が担当する。車両には仏ナビヤの「NAVYA ARMA(ナビヤアルマ)」を採用した。「世界ですでに100台以上が導入されているナビヤの車両の実績を重視した」(SBドライブの担当者)。



同車両はハンドルがなく、車内にあるのは座席のみだ。ハンドルがない自動運転車両による公道での実証実験は、まだ例が少ない。安全対策として走行時には補助する保安要員が同乗するが、ハンドルがないので緊急時にはゲーム用のコントローラーを使って操作する手動運転に切り替える。
出発時には、車内のタブレット端末でボタンを押して「出発」を指示する。その後、ロータリーでドアを閉めて発進し、公道を走行した後にロータリーでドアを開くまで自動で走行できる。ただ、今回の実証実験では、出発時に加えて、もう1回だけ手動で操作する必要がある。それは、旧式の信号機のある交差点を通過する際だ。
本車両は、走行中にコース上の信号機が赤か青かといった状態を取得して車両の停止や発進を制御している。コース上には8つの信号機があり、そのうち7つの信号機とは通信可能だが、車両と無線通信する技術「V2X」に対応していない旧式の信号機一つに関しては、情報を取得できない。そのため、信号が青になった際にタブレット端末で再度「出発」を指示する必要がある。
この信号機との通信には、現行の通信規格である4G(LTE)を使う。日本信号が管理するサーバーと、車両のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)サーバーがやり取りしており、日本の信号機の情報の形式を、海外製の自動運転車両で読み取れるように変換ソフトウエアを間に挟んだ。
車体に8つのLiDAR
車両の周囲のセンシングには、8つの高性能センサー「LiDAR(ライダー)を使用する。LiDARは、車体の天井部分に前後1カ所ずつ、車体側面に左右で1カ所ずつ配置され、車体の前面部と後面部には縦に並んで2カ所ずつ配置されている。

このほか、同車両には障害物回避機能のためにフロントウインドーとリアウインドーにカメラが2つずつ搭載されているが、今回の実証実験では使用しないという。
SBドライブは、これまでに自動運転の実証実験を30回以上実施してきたが、ほとんどが私道だった。今回の車両は、2019年6月にナンバープレートを取得した。その後、東京の汐留や芝公園、長崎県の対馬、北海道の上士幌町で公道の実証実験を実施しており、今回が5回目の公道での実証実験となる。
(日経 xTECH 東将大)
[日経 xTECH 2019年10月14日掲載]
関連企業・業界