米、トルコ鉄鋼の追加関税50%に シリア侵攻に対抗

2019/10/15 6:26 (2019/10/15 8:59更新)
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トランプ米大統領はトルコによるシリア侵攻は「戦争犯罪」に相当する可能性があると指摘した=AP

トランプ米大統領はトルコによるシリア侵攻は「戦争犯罪」に相当する可能性があると指摘した=AP

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は14日、トルコによるシリア侵攻で深刻な人道的危機が起きているとして、トルコに経済制裁を科すと表明した。トルコの国防相とエネルギー天然資源相、内相を制裁対象に指定した。トルコ製の鉄鋼に課す追加関税も倍増させる。制裁の強化で、軍事作戦を激化させないよう自制を促した。

米政府高官によると、トランプ氏は14日、トルコのエルドアン大統領と電話協議し、シリア侵攻の即時停止を求めた。トランプ氏は同日の声明で「トルコの軍事作戦は民間人を危険にさらし、地域の平和や安全、安定を脅かしている」と批判した。シリア侵攻は人道的危機を招き、「戦争犯罪」に相当する可能性があるとも指摘した。

トランプ氏は人権侵害や停戦妨害をしたトルコ政府関係者を制裁対象に指定する大統領令を発出した。シリア内戦で発生した難民の強制送還に関与した人物にも制裁を科す。トルコ政府は侵攻で支配したシリア北部の地域に「安全地帯」を設け、トルコに滞在する難民を送還する計画を示しており、米政権がけん制した形だ。

貿易面でもトルコに打撃を与える。鉄鋼への追加関税を現在の25%から50%に引き上げる。トランプ政権は米トルコ関係が改善したとして、5月に追加関税を25%に戻していた。2国間の貿易交渉も即時に打ち切る。トランプ氏は「トルコ指導部が危険で破滅的な道を歩み続けるのであればトルコ経済を即座に破壊する措置を準備している」とけん制した。

対トルコ制裁は米議会がトランプ政権に強く求めていた。議会はトルコによる侵攻でシリア情勢が不安定になり、過激派組織「イスラム国」(IS)が復活しかねないと懸念している。超党派でシリア侵攻の代償をトルコに払わせるための制裁法案を相次いで提出していた。

トランプ氏はトルコへの強硬姿勢を示して、シリア政策に対する批判をかわす思惑がある。トルコによるシリア侵攻の引き金を引いたのはトルコ国境に駐留していた米兵を退避させたトランプ氏の判断だとの見方が議会には目立つ。トルコが軍事作戦の対象とする親米のクルド人勢力を突然突き放した判断にも批判がある。

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