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西武「成長痛」のCS敗退 骨太チームへの糧に

編集委員 篠山正幸

リーグの覇者、西武としてはあまりにつらいクライマックスシリーズ(CS)敗退だった。だが、菊池雄星、浅村栄斗が抜け、昨季最多勝の多和田真三郎も不調、という試練を克服するなかで、チームの新しい形も見えてきた。若手投手が味わった苦みも、より骨太なチームになるための糧となるに違いない。

「イニングの先頭打者をアウトに取れなかったので苦しいピッチングになってしまった。真っすぐも変化球も高めに浮いてしまい、森(友哉)さんの要求通りに投げられなかった」。ソフトバンクとのCSファイナル第2戦の先発マウンドを任されたものの、三回途中6失点で降板した今井達也が残したコメントだ。

第2戦の一回、先制を許した今井(右から3人目)のもとに集まる西武ナイン=共同

2番の今宮健太と、この試合から1番に入った牧原大成を勢いづかせてしまったところから、短期決戦は一方的な展開になっていった。

巻き返しへの望みを託された第4戦の先発、本田圭佑は今宮、ジュリスベル・グラシアルに喫したソロを悔いた。「どちらとも失投。もったいなかったです」。ともに1ボールからストライクを取りに行った球だった。

もともと球威で勝負するタイプではなく、シーズン中は不利なカウントからでも慎重に球を散らしていた。それがプロ4年目での初勝利、シーズン6勝という開花をもたらした。その持ち味を発揮して、一、二回は無難に立ち上がっており、この2人のときだけ、魔が差した。改めて一球の重みが身にしみたことだろう。

第4戦の三回ソフトバンク1死、本田は今宮に先制ソロを打たれた=共同

投手のリードに苦心惨憺(さんたん)だった捕手・森は14打数2安打1打点。4試合で32失点という投手陣の不出来は打線の核にまで影響を及ぼした。

授業料というにはあまりに高くつきすぎたCS敗退。だが、これもチームの脱皮にともなう「成長痛」といえなくもない。

昨季の菊池の14勝に、1勝にとどまった多和田の勝ち星の減少分15勝を合わせ、29勝分の穴が開いた。

彼らが昨季こなしたイニング数をみると、菊池が163回2/3。多和田が172回2/3。多和田は今季66回1/3の投球回数で、106回1/3も減った。2人で合計270回。試合数にして30試合分が、他の投手に振り分けられ、貴重な経験の場として提供されたことになる。

選手には実戦に勝る肥やしなし

今季の西武のように、主力を失いながら勝った例は過去にもある。日本ハムは今度、指導者として復帰することになった小笠原道大コーチが、FAで巨人に移籍した2007年に優勝、エースのダルビッシュ有(現カブス)がレンジャーズに移籍した12年も優勝した。

日本ハムの場合は主力のトレードなどを含め、あえて新陳代謝を促している面があるのに対し、西武はいや応なしに、変革を迫られた。その違いはあるにしても、戦力的な「穴」が、新戦力の台頭を促すという育成の原理が働いたのは同様だろう。

選手にとって何が肥やしになるといって、実戦に勝るものはない。練習の10球より試合の1球。1軍の試合ともなれば1イニングの投球、1打席の経験でも宝物になる。

ソフトバンクに敗れて日本シリーズ進出を逃し、ベンチで一礼する辻監督(奥左)=共同

CS敗退後、辻発彦監督は「選手にはいい経験になったが課題もある。一人ひとりが課題を持っていかないと」と話した。課題を持てるのも、実戦の場を与えられたからこそ。

リーグ連覇を果たしたとはいえ、西武はまだ変革のまっただ中にある。2軍の球場、寮を含めた大改修によってボールパークに生まれ変わりつつある本拠地同様、グラウンドにも大改造のつち音が響き続けている。

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