台風19号、21河川24カ所で堤防決壊 死者35人
台風19号は12日夜から13日未明にかけ、東日本を縦断した。記録的な大雨で長野市の千曲川など21河川24カ所で堤防が決壊し、周辺が大規模浸水した。14日午前0時時点で35人が死亡、17人が行方不明。災害派遣要請を受けた自衛隊などが住民らの救助を進めている。北陸新幹線の車両基地が浸水するなど、企業活動や生活への影響が長引く恐れも出ている。

台風19号は東日本を縦断して太平洋へ抜けた後、正午ごろに東北沖で温帯低気圧に変わった。
長野市では千曲川の堤防が約70メートルにわたり決壊して住宅地などが大規模に浸水。福祉施設など5カ所で高齢者ら計約360人が孤立するなどした。国土地理院は長野市の浸水被害が、JR東日本の「長野新幹線車両センター」付近で最大深さ約4.3メートルに達したとの推計を明らかにした。
堤防決壊は栃木県佐野市の秋山川や茨城県常陸大宮市の那珂川などでも発生した。

河川の氾濫も相次いだ。国土交通省によると、東日本の延べ142河川で氾濫。東京都世田谷区では多摩川で水があふれ、住宅街が浸水した。埼玉県川越市では、特別養護老人ホームの入居者ら約120人が浸水で一時取り残された。
国交省によると、土砂災害は13日午後4時半時点で、岩手、静岡、神奈川など1都14県で56件に上った。群馬県富岡市では土砂崩れが起きて住宅が倒壊し、3人が死亡。福島県二本松市では住宅に土砂が流れ込み、男女2人が死亡した。

東京湾では停泊中の貨物船が沈没し、外国籍の乗組員12人のうち9人が発見されたが、5人は死亡した。

経済産業省によると、台風19号の影響による停電は全国で最大約52万戸になった。台風15号で停電が長引いた千葉県でも再び停電する住宅が多かった。東京電力パワーグリッドは冠水地域の一部などを除き20日までにおおむね復旧するとの見通しを発表した。
厚生労働省によると、断水は13日午後5時時点で、14都県で約12万戸に上った。
政府は13日、非常災害対策本部を設置した。安倍晋三首相は会合で「現地の具体的なニーズをしっかり踏まえつつ、水、食糧、段ボールベッドなど避難所の生活環境整備や避難者の生活に必要となる物資をプッシュ型で支援してほしい」と指示した。
防衛省は13日までに、台風19号で被害を受けた地域での救助活動などに約3万1千人の自衛隊員を派遣した。今後、自治体からの要請があれば増員も検討する。増水した千曲川や福島県の阿武隈川の監視にあたるため、つり上げ装置の付いたヘリコプター25機を投入する。
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