英市場でポンド・金融株急伸、合意なし離脱回避に期待
【ロンドン=篠崎健太】11日のロンドン市場では英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる交渉が進展するとの期待から、英通貨ポンドや金融株が急伸した。ポンドは対ドルで約3カ月半ぶりの高値となり、複数の英大手銀行株が前日比で10%超値上がりした。英EUが交渉を進めることで一致し、10月末の「合意なき離脱」回避に向けた歩み寄りへの思惑が広がった。

ポンドは一時1ポンド=1.27ドル台に乗せ、6月下旬以来の水準を回復した。9日から約0.05ドル上げ、2営業日の上げ幅としてはEU離脱を決めた2016年6月の国民投票後で最大になった。対円でも大きく続伸し、一時1ポンド=137円台後半と6月上旬以来のポンド高・円安水準になった。

ロンドン証券取引所では大手銀行や保険株が買われ、ロイズ・バンキング・グループは12%高、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は11%高で終えた。英10年物国債利回りが直近2日間で0.4%台から0.7%程度へ急上昇(債券価格は低下)し、運用収益の悪化懸念がいったん後退した。
英領北アイルランドと接するEU加盟国アイルランドの市場でも、離脱合意で混乱が避けられることへの期待から、銀行や不動産など内需株が買われた。代表的な株価指数のISEQ全株指数は4%上げ、5月上旬以来の高値水準で終えた。
英EUは11日、離脱条件を巡る集中協議に数日をかけることで合意した。同日の英国のバークレイEU離脱担当相とEUのバルニエ首席交渉官の会談は「建設的だった」とも伝わった。17~18日のEU首脳会議に向けて当局者から前向きな発言が続き、市場では「合意の期待が高まっている」(米ゴールドマン・サックス)との見方が広がった。