トルコ防衛のミサイル撤収へ イタリア、シリア攻撃に抗議
【イスタンブール=木寺もも子】イタリアは、トルコ防衛のため同国南部に配備しているミサイル防衛システムを11月に撤収する。トルコのチャブシオール外相が11日、イタリアの通知を受けたと明らかにした。トルコ軍による隣国シリア侵攻への抗議とみられる。スペインが同様の検討をしているとの報道もある。北大西洋条約機構(NATO)加盟国内でトルコの孤立が深まっている。

シリア内戦が始まった後の2013年から、NATOは最新鋭のミサイル防衛システムを持たないトルコのため同システムを配備してきた。現在はイタリアとスペインが担当する。スペイン紙エル・パイスは10日、シリアでの戦況が悪化した場合、スペインが12月で期限が切れる同システムの配備を更新しない方向で検討していると報じた。
トルコは7月、NATOの仮想敵ロシアから地対空ミサイル「S400」を購入済み。トルコ、イタリア、スペインはいずれもNATO加盟国であり、一連の動きはNATOにおけるトルコの孤立とロシアへの傾斜を加速させる可能性がある。
トルコが9日に始めたシリア北東部への軍事作戦は11日も続いた。トルコ政府によると同日までに、同国のエルドアン政権がテロリストとみなすクルド人武装勢力の300人以上が死亡した。トルコ軍はシリア領内で14の村を制圧したという。国連は避難民が10万人に達したと明らかにした。
シリア側からトルコ側の町への越境攻撃もあり、トルコメディアによると子供を含む民間人9人が死亡した。11日には各メディアの取材拠点となっている建物が砲撃を受け、トルコ国営通信の記者らが負傷した。