緊張増すイラン危機、偶発衝突リスクも タンカー爆発

2019/10/11 21:03
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【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビア沖の紅海で11日、イランの石油タンカーが爆発を起こした。5月以降、ペルシャ湾で続いた石油タンカーへの不可解な攻撃事件は、おなじく海上輸送路の要衝である紅海にも飛び火した。攻撃をだれが実行したかは明らかでないが、イランをめぐる緊張が一段と高まり、イランと周辺国や米国が偶発的な衝突におちいるリスクが高まる。

紅海で攻撃を受けたとみられるイランの石油タンカー(撮影日時は不明)=WANA・ロイター

紅海で攻撃を受けたとみられるイランの石油タンカー(撮影日時は不明)=WANA・ロイター

イランは米制裁で原油の輸出を表向き禁じられている。イランのタンカーは位置を知らせる衛星通信スイッチを切って紅海を航行し、シリア向けに密輸をしようとしていたとの見方がある。

5月以降に続いた外国タンカーへの攻撃や9月に起きたサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの施設への攻撃について、サウジや米国は「イランが関与した」と指摘してきた。イランが今回のタンカー攻撃に米やサウジが関与したと疑うのは当然だろう。イスラエルも、イラン核合意の取り決めから逸脱を進めるイランの行動に危機感を強めている。

犯行声明なき攻撃の横行は、シグナルの読み違えや過剰反応のリスクを一段と高める。6月にホルムズ海峡近くでイランが米無人機を撃墜した事件では、トランプ米大統領がイランへの報復攻撃を直前で中止するまで緊張が高まった。

中東産原油の輸送をめぐっては、想定以上のリスクが意識され始めている。「チョークポイント」と呼ばれる中東航路の要衝のホルムズ海峡だけでなく、紅海における船舶航行のリスクが高まったとなれば、スエズ運河を通る石油に依存する欧州にとって深刻度が上がる。

9月のアラムコへの攻撃では、わずか2施設への攻撃で能力の半分にあたる日量570万バレルの生産が停止に追い込まれ、市場に衝撃をあたえた。シェール革命で北米がエネルギーの純輸出地に転じる一方、アジアは中東の化石燃料への依存を強めている。

サウジとイランの対立は、仲介役が不在で出口がみえない。サウジでは実力者ムハンマド皇太子がイラン敵視を一段と強める。イラン国内では保守強硬派が政治の主導権をにぎりつつある。

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