鹿のいまむかし ロバート キャンベル

エッセー
2019/10/16 14:00
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日本経済新聞 電子版
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牡鹿(おじか)は高く遠くまで通る哀(かな)しげな声で牝(めす)を求めている。日本文学を囓(かじ)ったことのある人なら知っているはずの秋の風物詩。月夜の木立に立ち尽くす鹿の姿は『万葉集』以来、数々の歌に詠まれてきた。

次の歌を読む時、わたくしは実の詰まった大きな焼き栗の皮を剥いた瞬間のように、秋そのものを感じる。

〈妻恋ふる鹿のたちどをたづぬれば狭山(さやま)がすそに秋風ぞ吹く〉(大江匡房、『新古…

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