日立、ディズニーと提携 スマートシティー拡大の試金石

2019/10/11 20:00
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日立製作所の米子会社と米ウォルト・ディズニーがテーマパークのIT(情報技術)化で提携した。日立のセンサーでアトラクションの振動や温度のデータなどを集め、ディズニーが適切に設備を保守できるようにする。日立はテーマパークを1つの街に見立てて、あらゆるものがネットにつながるIoTのノウハウに磨きをかける。IoTでインフラを効率的に運用する「スマートシティー」の事業拡大の試金石になる。

日立はディズニーのテーマパークの保守などを支援(9日、米ラスベガス。ミッキーマウスと並ぶ日立の東原敏昭社長(左))

「ディズニーはまさにスマートシティー。協力できる部分はいっぱいある」。日立が10日まで米ラスベガスで開催していたデジタル事業の説明会。ディズニーとの提携を発表した日立の東原敏昭社長はこう強調した。

今回の提携では、日立の米IT子会社の日立ヴァンタラが、米フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートやカリフォルニア州のディズニーランド・リゾートで、日立のあらゆるものがネットにつながるIoT基盤「ルマーダ」を提供する。日本のテーマパークは対象外という。

日立はIoTで取引先の工場の生産改善などを支援してきた。設備のどこにセンサーを取り付けるのがよいのか、データをどう分析すれば故障を予知できるかなどの知見を持つ。「(ディズニーのアトラクションは)レール上に設置されているものが多いので、日立の鉄道事業のノウハウも使える」(日立ヴァンタラのブラッド・スラク最高製品・戦略責任者)

まずは設備の保守で手を組むが日立は協業分野を広げたい考えだ。監視カメラで来園者数を割り出し混雑具合を分析することなどを検討する。

ディズニーは、IT機器やソフトウエアを幅広く手がける日立の総合力を評価したようだ。ディズニーの設備部門の幹部、トレバー・ラーセン氏は「(従来は)ブレーキや車輪などの機械の"声"を聞いて(アトラクションの故障の)予測や対策をしてきた」と話す。日立との提携で精緻な保守計画を立て、アトラクションの停止時間を短くする。ディズニーの18年9月期は増収増益でテーマパークが寄与した。IoTで顧客満足度を高め、テーマパークの競争力に磨きをかける。

米テーマエンターテインメント協会などの調べではディズニー・ワールドに4つあるテーマパークのうち、一番人気の「マジック・キングダム・パーク」だけで18年に2086万人が来場。世界一の来場者数で1日あたり6万人弱がパーク内を回遊していた計算となり、1つの街に匹敵する。

日立はテーマパークを街に見立てて、データなどでインフラを効率化するスマートシティー事業の知見を蓄積する。調査会社IDCジャパンによると、世界のスマートシティー市場は23年に1895億ドル(約20兆円)に拡大し、成長が見込める。日立は日本や中国、オーストラリアでスマートシティー事業の実績があるが欧米は手薄。独シーメンスや米アルファベット(グーグルの持ち株会社)との競争も厳しい。

日立はIoTの売上高を22年3月期に1.6兆円(19年3月期は1.1兆円)に増やす計画だ。世界でスマートシティー事業を拡大し、成長を担うIoTを伸ばせるかどうか。ディズニーとの提携で着実に実績を示せるかがカギになる。

(ラスベガス=花田幸典、シリコンバレー=佐藤浩実)

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