海外のIRは体験×娯楽で充実、依存症対策も

2019/10/11 18:43
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海外の統合型リゾート(IR)はカジノだけでなく、体験型の観光機能やコンサート会場などを備える複合施設がほとんどだ。世界全体の6割にあたる127の国と地域でカジノは合法。家族で楽しめる娯楽で観光客の増加に一役買う一方、ギャンブル依存症対策も世界規模で進む。

「IR誘致表明を」、道内経済4団体が共同宣言

米ハードロック・インターナショナルはシンガポールのIRでホテルを展開する

米ハードロック・インターナショナルはシンガポールのIRでホテルを展開する

海外のIRは地域の観光資源を生かした施設が目立つ。南アフリカ共和国にある「サンシティ・リゾート」はゴルフ場や大型プールなどに加え、隣接する国立公園で野生動物を見物できる。マレーシアの「ゲンティン・ハイランド」は首都のクアラルンプールから車で約1時間の高原リゾート。テーマパークのほか、付近には冷涼な気候を生かしたイチゴ狩りを体験できる場所もある。

シンガポールの「リゾート・ワールド・セントーサ」は2010年に開業。敷地内にはユニバーサルスタジオや水族館、国際会議場や高級ホテルもそろう。同国の14年の外国人旅行客は09年比56%増、観光消費額は同86%増となるなど、同年開業で屋上プールが有名な「マリーナベイ・サンズ」と合わせて外国人観光客数を押し上げている。

カジノはこうした施設を収益面で支えている。カジノの集客には季節による浮き沈みが小さく、入場料や賭け金による安定収入を施設自体の維持管理に回すことで相乗効果をもたらすためだ。

もちろん、前提になるのは入場料の徴収や賭け金の上限設定などの厳しい規制やギャンブル依存症対策だ。マカオでカジノを手がけるメルコリゾーツ&エンターテイメントは入り口に顔認証機器を導入し、過去に問題行動を起こした人を入場禁止にしている。

オーストラリアのビクトリア州は顧客が1日の賭け金上限額を事前に設定し、上限に達すると機器が音声で案内する。新たにカジノができる日本でも、顧客の暴走を防ぐための万全な対策は欠かせない。

カジノ開業にあたってギャンブル依存症の対策を充実させたシンガポールでは、17年のギャンブル依存症率は0.9%と、08年のIR開業前(2.9%)より低くなったとの調査もある。日本も対策の知見と効果を各国と共有し、最新の対策を導入する必要がある。

北海道は4月に公表したIRについての「基本的な考え方」で、北海道にふさわしいIR像を示している。誘致が実現した場合、北海道の自然を体感できるような設備を作ったり道内を周遊旅行できる拠点機能を設けたりするイメージを浮かべる。外国人観光客に根強い人気の東京や大阪などの「ゴールデンルート」以外の地域に足を延ばすきっかけにもなる。

優先候補の苫小牧市には米ハードロック・インターナショナルの日本法人などがすでに事務所を構えている。政府は20年初にカジノ管理委員会を設置し、IR審査基準を盛り込んだ基本方針をつくる。食や大自然など観光資源に恵まれた北海道が手を挙げれば一躍、有力候補となるのは間違いない。

(塩崎健太郎)

■北海道の経済4団体、21日に「緊急共同宣言」を正式発表
 北海道経済連合会と北海道商工会議所連合会、北海道経済同友会、北海道観光振興機構の道内4経済団体は11日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致実現を目指す「緊急共同宣言」を21日に出すと発表した。同日は4団体のトップが札幌市内で記者会見を開く予定。
 道内にIRが設置されれば雇用や観光客の増加など高い経済効果が見込めるとして、北海道に誘致表明の判断を促す。
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