セブンイレブンの閉店も発表したが「「(コンビニ業界は)まだ飽和はない」と話したセブン&アイの井阪社長(10日午後)=共同
セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は10日に開いた2019年3~8月期の決算説明会で、傘下の事業会社のさらなる構造改革を表明するとともに、自社のスマートフォン決済サービス「セブンペイ」の不正利用問題に関して謝罪した。主なやりとりは以下の通り。
――イトーヨーカ堂やそごう・西武の業績悪化の背景は。
「アパレル分野などで自社運営に拘泥しすぎた。人口減少といった地域の環境変化への手当ても遅れた。ただヨーカ堂は103店舗を継続が可能とみていて、首都圏の恵まれた立地にある。店舗ごとに商品やカテゴリーの構成を見直せば、十分に成長できる」
――ヨーカ堂で閉店を検討する33店舗の特徴は。
「地方店や特定の地方というわけではなく、1店1店エリアごとに厳しい店だ。まず外部企業との連携を模索する。グループ企業とも一定の話を進めている。外部やグループ連携が難しければ、3年後、22年度末までの閉店を視野に入れる」
――そごう・西武で閉店する5店舗以外は。
「残りの店は自社でしっかりやってく。ただ西武所沢S.C.(埼玉県所沢市)や西武東戸塚店(横浜市)は(地域のニーズに合わせて)食品スーパーのような運営形態に変わっていくだろう」
――コンビニエンスストアの閉店も発表している。業界が飽和している認識はあるか。
「まだ飽和というのはないと思っている。レイアウトの変更や商品強化で(好調な)数値が出ている。出店の仕方も単独でずっとやるか、複合出店を考えるかで、お客様のQOL(生活の質)を向上させるポートフォリオは必ず見つかる」
――セブンペイの不正利用事件の原因は。(事業化を)急ぎすぎたとの指摘もある。
「一番の問題はグループ全体のセキュリティー意識の欠如にある。横断的にマネジメントできる専門的な人材がおらず、セキュリティーに対する設計と思想が欠けていた。時間の問題ではないという認識だ。今回の組織変更で専門知識のある人間を登用し、安全性を担保したシステム設計をできるようにしたい」