揺れるOPEC 相次ぐ離脱 サウジ主導に反発

OPEC
中東・アフリカ
2019/10/10 20:08
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【カイロ=飛田雅則】世界の産油量の4割を占める石油輸出国機構(OPEC)の結束が揺らぎ始めた。1月のカタールに続き、2020年1月にはエクアドルが脱退することになった。ともに盟主サウジアラビアとの摩擦が背景だ。サウジがロシアと進める協調減産の効果を疑問視する加盟国はエクアドル以外にもあるとみられ、市場の波乱要因になりかねない。

エクアドルは石油輸出国機構(OPEC)から脱退を表明した=ロイター

エクアドル政府は1日の声明で脱退の理由を「公的支出を抑え、新たな歳入を創出する国の計画に合わせた」と説明した。主要な歳入源である原油生産を日量51万7千バレル(18年、英BP資料)から増やすには減産を強いるOPECから離れる必要があるというわけだ。

OPECは17年1月からロシアなど非加盟の主要産油国との協調減産を続けている。エクアドルは19年2月以降、減産対象から外すよう求めていたが、回答を得られていない。同国のペレス・エネルギー・非再生可能天然資源相は「必要とするものを生産し続ける。OPECの決定は強制でない」と主張する。

エクアドルは国際通貨基金(IMF)の支援を受け、財政再建を進めている。原油価格はサウジの石油施設への攻撃直後には急騰したものの、世界経済の減速懸念を受けて安値圏の推移に戻った。減産は相場の下支え効果は見込めるが、エクアドルはいまの水準に満足できない。価格が低い分、生産と輸出を増やして利益を確保しようと考えているもようだ。

「各国は協調減産の約束を守るべきだ」。サウジ攻撃がある前の9月中旬、同国のアブドルアジズ・エネルギー相は加盟国の「減産破り」への警戒をにじませた。

OPECとロシアなど非加盟国は現行の日量120万バレルの減産幅を20年3月まで維持すると決定済み。9月中旬にはサウジが減産幅の拡大を提案したもようだが、ロシアなどが慎重な姿勢をみせ、結論は先送りとなった。減産で原油価格が上がれば、米国のシェールオイル会社の増産攻勢を招き、価格の上値を抑える可能性があるからだ。

サウジは国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を計画しており、目先のシェアを減らしても原油価格を引き上げ、アラムコの企業価値を高めたい。OPECプラスのメンバーとのあつれきにつながる。

エクアドルが脱退すればOPECの加盟国は13に減る。BPによると、18年の世界の原油生産量に占めるシェアはカタールが2%、エクアドルは0.5%にすぎない。世界シェアの13%で、生産余力の大きなサウジはなおOPECを主導するが、足元は盤石でない。

OPEC全体のシェアは1970年代前半のピーク時に50%を超えたが、いまや40%程度に低下した。天然ガス、太陽光や風力などのエネルギーへの転換も予想を超えるスピードで進む。米シェールオイルはOPECの価格支配力に大きな打撃を与えた。すでにロシアなどの協力を得なければ市場で十分な影響力を行使できないのが実情だ。サウジが運営を誤り、結束の緩みが進めば、OPECの存在感は一段と低下しかねない。

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